東大法学部卒の人気タロット占い師、ムンロ王子。IT会社社長、シャンソン歌手としての一面も持ち合わせおり、独特のオネエキャラで、テレビ番組や雑誌に引っ張りだこの占い界のニューカマーだ。
“ハイブリッド・パフォーマー”を名乗り、これまで1万2000人以上を鑑定。昨年の日本ダービーでは万馬券を見事的中させた。
そんなムンロ王子の連載がFINDERSでスタート。「なぜか当たる」と評判のタロット占いと多岐にわたる経験で、読者の悩みにズバッと切り込む人生相談コーナー「ムンロ王子の当たりすぎるタロット人生相談」が始まる。
そこで、ムンロ王子に占ってほしい!というFINDERS読者から相談内容を募集する。あなたの今直面している悩みを、こちらのフォームから投稿していただくか、あるいは名前(仮名可)・性別・年齢とともにmunro@cnsmedia.jpにメールしていただきたい。
今回は第0回前編として、謎多きムンロ王子の素顔に迫るべく、編集長の米田と対談を行った。
聞き手:米田智彦 構成:平田提 文:岩見旦 写真:NOJYO
ムンロ王子
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東京大学法学部卒の異色のタロット占い師(パワータロット・カウンセラー)。その他IT会社社長をはじめ、シャンソン歌手、朗読劇プロデューサーなど、さまざまな顔をもつハイブリッド・パフォーマーとしても知られている。朝日カルチャーセンター他、都内カルチャー教室におけるタロット占い講座を展開して、これまでに生徒数は100人を超える。
メイクは女性と向き合うための「鎧」

米田:まずムンロ王子というキャラクターが誕生した経緯をお聞きしたいです。
ムンロ王子: 2011年頃、タロット占いを3000人ぐらいやっていた時に、テレビ埼玉さんから出演の依頼が来て。テレビに出るのでどうしようか兄に相談したら「お前絶対本名で出るなよ」って。「何で?」と訊くと、「子どもがいじめられる」って言うわけ(笑)。
米田:その時はまだ王子としてのお姿ではなかった?
ムンロ王子:すっぴんでした。それで名前と一緒に顔も変えちゃえと思って。それでメイクアップアーティストの友達に頼んで、メイクの仕方教えてもらって。最初にイメージしたのは、『リボンの騎士』のサファイア姫。そこからイメージを発展させて、ナヨナヨしてる男性が、親がしっかりしろと育てようとするけど、だんだん同性の男性に恋をして女性っぽくなっていく……みたいなイメージで、ムンロ王子を作ったんです。
米田:ご自身の中ではムンロ王子はひとつのキャラクターなんですか?
ムンロ王子:そうですね。メイクをして衣装を着ている内にだんだん馴染んでくるというか。最後に口紅を塗るんですけど、その瞬間に人格が変わるんです。私は女装と言われることがあるんですけど、そうじゃなくて中性。性を消してるんですよね。占いではひとりの女性と向き合ってディープな話をするわけですけれど、そういう時に、サラリーマンみたいな格好をしていると、女の人は身構えちゃうわけ。「この人は私より年上なの?年下なの?」「男性なの?女性なの?」みたいな、境界線を分からなくさせちゃって、相手に先入観を与えない、警戒心を持たせない、そういう意味もあります。要は女性と対峙するためのひとつの道具というか、鎧なんです。
東大卒と占い師のギャップが人の目を引く

米田:ムンロ王子は必ず「東大法学部卒」っていう肩書きがつくじゃないですか。それに関してはどう思われますか?
ムンロ王子:今こんな活動をしていると、親が「お前何やってるんだ。東大まで入れて」「勉強ばっかさせて間違ってたかな」みたいな反応するんですね。でも私が今やってる占いは東大を出てるから、そのギャップに注目してくれるんだよって。今となっては、そこの必然というか、なるべくしてこうなったんだなと思います。
米田:それはどういうことですか?
ムンロ王子:私は開成高校に落ちて海城に行って、ライバルが筑波大付属高校に行っちゃったんです。私がその人たちに勝つには、東大法学部入るしかないみたいな。そしたらすべてリセットされる、今までやったことは正当化されると思ってたの。コンプレックスが全部解消されると思ったんです。
米田:ライバルに勝つためだったんですね。
ムンロ王子:そうね。でもそれだけだとモチベーションが上がらないので、そこで政治家を目指すって自分に言い聞かせたの。それもお金儲けというよりは純粋に良い国をつくりたいと思ってね。じゃあ政治家になるためには官僚。官僚になるには東大法学部と逆引きをして無理やり自分のモチベーションを上げたんです。結果一浪して東大法学部に合格したんだけど、いざ大学に入ってみると周りの頭の良さが半端ないんですよ。要は偏差値100とか、全国模試のトップの人とかが平気でいるわけ。
米田:いわゆるギフテッドみたいな人ですよね。
ムンロ王子:そうそう。ご両親も兄弟も祖父も東大みたいた東大一家。イメージとしては羽生結弦選手みたいな人がスケートリンクにいるような感じ。絶対勝てないし、この人たちと机を並べても面白くないし、私の来る場所じゃなかったと思って。そこで私の中で「東大法学部」って肩書きにまったく興味なくなっちゃって。2年生ぐらいの時に方向転換して、しょうがないから悪徳弁護士になって、金儲けでもして私腹を肥やそうみたいに思って(笑)。それで司法試験を受け始めたんです。
米田:それで受かったんですか?
ムンロ王子:いやいやいや、受かってたらここにいませんよ。やっぱり私利私欲じゃモチベーションが低いわけですよ。司法試験はあと2、3年やれば受かりそうなところまでは来たんだけど、大学辞めてまでやるもんじゃないなと思って。それで就職活動をして一般企業に入りました。
米田:その後IT会社を起業して、タロット占いを始められたんですね。
ムンロ王子:当時ITバブルで、ちょうどホリエモンと同じぐらいの時に会社を作ったんですよね。そしてタロットカードのプログラムをつくっている内に占いにハマって、それが仕事になって、今は会社でタロットについての教材も作っています。
シャンソンとタロットの共通点

米田:ムンロ王子はシャンソン歌手でもあるんですよね。
ムンロ王子:そうですね。シャンソンだけでなくエルヴィス・プレスリーとかジャズも歌うけど、かれこれ歌を6年ぐらい歌っています。シャンソン歌手というのはジャンルというよりシャンソン風に歌うという歌い方の話。主にフランスのエディット・ピアフの歌をよく歌うのですが、フランス語を訳す際に、タロットカードのメッセージを練り込んでるんですよ。例えば『愛の讃歌』は、「恋人」というカードと「死神」をテーマにした、死と愛のせめぎあい。『パダムパダム』は、「悪魔」のタロットカードをイメージして。一曲を聞くと、そのカードの解説を聞いてるかのような仕掛けを作っています。
米田:タロットとシャンソンには共通点があるんですか?
ムンロ王子:タロットは一対一でやる問診みたいなもの。それに対してシャンソンは不特定多数に対して未病や予防医学。つまり愛するってこういうことでしょ、生きるってこういうことでしょって伝えるもの。タロットとシャンソンは私の中では表と裏の関係に一応あります。
米田:最後に、なぜムンロ王子のタロットは当たるのでしょうか?
ムンロ王子:よく言われるんですけど、今まで鑑定してきた1万2000人の経験値が乗っかるからなんですよ。例えば目の前の人が「女帝」ってカードを引いたとしたら、今まで「女帝」を引いた人を何千人も見ているので、きっとこんな思いのある人だろうっていうのが分かるんです。その想定の下に占ったり文章を書いたりするから、引いた人は「何で当たるんだろう」ってなるわけです。
錦織がダウン・ザ・ラインでシャットを決めるのはマグレではなく経験値からなんですね。それだけ場数を踏んで努力しているってこと。昨年の日本ダービーで大穴を見事的中させて万馬券を手にしましたが、それも78枚のカードを思い通りに操れるようになっているからなのです。
私は東大で勉強して左脳をどんどん鍛えました。実際、左脳で生きていこうとしたんだけど、今はタロットで右脳の世界に入り込んでるんです。でもタロットを教える時の教材は全部左脳、つまりロジックを使って作っているんですよ。
混沌とした世界を整理して、生きるとか愛ってこんなものっていうのを、ロジカルに整理して、それを占いや歌に乗せて広げていくのが多分私の今のミッションかなと思いますね。
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ムンロ王子に占ってほしい方を募集します! あなたの今直面している悩みを出来るだけ詳しく書き、名前(仮名可)・性別・年齢とともにmunro@cnsmedia.jpにメールください。FINDERSの記事でムンロ王子が鑑定します。