文:岩見旦
音楽の力で、世界中を感動と熱狂の渦に巻き込むミュージシャン。言うまでもなく、私たちが度肝を抜かれるような売上をあげている。
そんな時代を彩ったミュージシャンの隆盛がひと目で捉えられる動画が話題を集めている。
1969年から2019年までのミュージシャンの隆盛
今回紹介するのは、1969年から2019年までの過去50年間、世界で最も売上をあげたミュージシャンの変化を可視化した動画だ。最近のデータに関しては、ダウンロード販売やストリーミングサービスなどの売上を含んでいる。
この動画を制作したのは、データオタクを自称する博士課程1年生。今回はアメリカレコード協会(RIAA)、国際レコード産業連盟(IFPI)、各レコード会社の発表を参考にした。まずはこちらの動画を見ていただきたい。
テクノロジーの進化とミュージシャンの50年
1969年、最初にトップに輝いたのはビートルズ。1970年代に入ると、イーグルスやレッド・ツェッペリンといったロックバンドが台頭する。この頃、すでに登場していたレコードに加え、8トラックテープやカセットテープといったフォーマットが加わり、車の中で音楽が聞けるようになった。さらに、1979年にはソニーよりウォークマンが発売され一大旋風を巻き起こした。
1980年代になると、メディアを制したポップアイコンの時代に突入。1981年にはMTVがスタート。1982年には初のCDがリリースされた。この時代、一時期Queenとマドンナも首位を獲得したものの、80年代から90年代にかけてのほとんどの期間、マイケル・ジャクソンがトップに輝いた。マイケルはこのランキングにおいて累積で最も長い期間、首位を記録している。
1990年代には多様なミュージシャンがランクイン。特に映画の主題歌を手掛けたミュージシャンが上位に名を連ね、「ライオンキング」のエルトン・ジョン、「タイタニック」のセリーヌ・ディオン、「ボディーガード」のホイットニー・ヒューストン、「エビータ」のマドンナなどがランキングを彩った。
2000年代はエミネムの独壇場。最長となる7年間連続でトップに君臨し、ヒップホップをメインストリームに押し上げた。この他、バックストリート・ボーイズやレディ・ガガも上位にランクイン。2006年にはSpotifyが設立され、その後の音楽の聞き方自体を大きく変えることになる。
2010年代はリアーナ、ドレイク、ルイス・フォンシがトップを奪取。RIAAによると、ストリーミングによる売上は2017年の音楽業界の売上のほぼ半分だったが、2018年は75%以上に跳ね上がり、2018年第1四半期の総売上は46億ドルを記録。これはスマホの普及の影響が大きいだろう。
ミュージシャンとテクノロジーの進化は、常に背中合わせだ。新しいテクノロジーが、次のマイケル・ジャクソン、次のエミネムを決めることになるかもしれない。