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「今買っておけば将来絶対儲かる」跋扈する「メタバース原野商法」に騙されないために知っておくべき3つのこと
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  • 2022.04.14
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「今買っておけば将来絶対儲かる」跋扈する「メタバース原野商法」に騙されないために知っておくべき3つのこと

Photo by Shutterstock

足立 明穂

ITトレンド・ウォッチャー、キンドル作家

シリコンバレーで黎明期のインターネットに触れ、世界が変わることを確信。帰国後は、ITベンチャー企業を転々とする。また、官庁関係の仕事に関わることも多く、P2Pの産学官共同研究プロジェクトでは事務局でとりまとめも経験。キンドル出版で著述や、PodcastでITの最新情報を発信しつつ、セミナー講師、企業研修、ITコンサル業務などをおこなうフリーランス。

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最近、企業からの相談案件が急増している『だれにでもわかるNFTの解説書』の著者、足立明穂です。NFTやメタバースの認知が広がっていくのは嬉しい限りなのですが、一方で、聞きかじりの知識で分かったつもりになって騙される人たちも出てきています。今回は、そんな怪しげなビジネスの一つ「メタバース原野商法」について説明します。注意すべき点についても説明したので、騙されないようにしてくださいね!

元祖メタバース原野商法のエクシングワールド

“原野商法(げんやしょうほう)とは、原野などの価値の無い土地を騙して売りつける悪徳商法のことをいう。1960年代から1980年代が全盛期であり、新聞の折り込み広告や雑誌の広告などを使った勧誘が盛んに行われていた。” Wikipediaより

今から15年近く前、2000年代後半に仮想空間「セカンドライフ」が流行りました。クリエイターが自由に家具や乗り物、建物などを作って販売できるという「経済活動」ができるということで人気を呼びました。それだけではなくセカンドライフ内のバーチャルな土地を購入し、賃貸や売却で利益を得ることも可能でした。セカンドライフで使われていたバーチャルな通貨はリンデンドルと呼ばれ、そのようにして獲得したリンデンドルを現実のドルと換金することが可能であることも、世界中の人々が興味を持った理由です。

事実、海外ではセカンドライフ内の土地を売買し巨額の富を得たユーザーもいました。中でもAilin Graefという中国人実業家はセカンドライフを通じて日本円にして1億円以上の利益を稼いだとも言われており、2006年にはアメリカのビジネス雑誌『Business Week』の表紙に同氏のアバターであるアンシェ・チェンが掲載されました。ビジネス雑誌の表紙をアバターが飾るというのは初めてのことで、遊びだと思っていたセカンドライフに大きなビジネスチャンスがあるということ、バーチャルの土地が売れるという分かりやすい表現が投資先として考えられるようになりました。

By somebody working for the magazine - Original publication: BusinessWeek magazine May 2006Immediate http://images.businessweek.com/mz/06/18/0618covdc.gif, Fair use, https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=36955760

しかし、バーチャルの土地といっても、その本質はサーバの中にあるハードディスクを借りるのとなんら変わらないのですが、何か新大陸を発見したかのような気持ちになってしまう人は多かったのです。そして、そこにつけ込む連中も出てきました。

日本では、セカンドライフ運営開始から6年後の2009年に「エクシングワールド」という仮想空間サービスが始まるというので、数年前から「仮想土地」の先行販売が展開されました。「渋谷」だの「品川」だの「新宿」だのといった全国約2600カ所のランドマークの地名が使われ、日本各地でセミナーも開催されました。セミナーではプロモーション映像が流され、夢のような世界が来ると熱弁していました。

当時、セカンドライフで知り合った知人が、そのセミナーにもぐりこんできたときの話では、テレビや雑誌などで取り上げられているセカンドライフ内の成功者・有名人を紹介し、さも知り合いかのように語ってたそうです。

参加者を見渡すと、明らかに仮想空間、セカンドライフのこともよくわらないどころか、インターネットやパソコンもよく分からないと思われる高齢者や主婦もいたそうで、目をキラキラさせていたそうです。

エクシングワールドは、紹介制度で紹介した人が申し込むとキックバックの報酬が入る仕組みになっていました。その効果で多くの人を集めることに成功し、2007年から2009年の間に、約2万5000人から91億円を集めるまでになりました。

しかしその後、実際のサービスはなかなか始まらず、ベータ版と称して別のサービスにログインすることで誤魔化していました。契約では、サービス開始されない場合は返金ということになっていたのですが実際は返金されることがなく、行政指導が入り業務停止へと追い込まれることに。裁判沙汰になりエクシングワールドの関係者から逮捕者も出るまでになったのです。

仮想空間というなにか新しいビジネス手法、バーチャルな土地という夢のような世界、フロンティア大陸のように先行投資が大きな利益を得るのではないかという思いで一気に広がったのでしょう。

この事件、知らない人も多いので、メタバースという言葉がひとり歩きしている昨今、同じようなバーチャル原野商法が出てきています。

次ページ:「今のうちに購入しておくと将来何倍にもなる」と言われたのですが……

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