より面倒なのは「なんちゃって専門家」
ビットコインが広がりだしたころ、その内容がよく分からないので、にわか知識を仕込んだ「なんちゃって専門家」が増えました。NFTやメタバースなども同じく、「なんちゃって専門家」が増えています。中途半端な知識で教えているので、間違った知識が拡散されて、その結果、先のような怪しげなビジネスの被害者になることも。
「なんちゃって専門家」は、とにかく難しい言葉を使って煙に巻こうとします。カタカナ用語やアルファベット略語が多い。ただ、こういう人達は、それらしく専門用語を使ってはいるのですが、意味を理解できていない場合が多いので、「〇〇というのは、どういう意味ですか? よく分からないので教えてください」と質問すると、本人も理解していないので説明に詰まってしまいます。それを誤魔化すかのように、「知らなくても問題ありません。やっていれば分かるようになります」といった回答をするでしょう。
ではよくわからない情報に振り回されたり、騙されないために、私が「信頼できる」と考える人をご紹介します。業界の動向を追うのであれば、ご紹介する方々の発言は、ぜひチェックしておいてください。
国光宏尚氏
Thirdverse代表取締役CEO、FiNANCiE代表取締役CEO
非常に早い段階から、メタバースやNFTなどWeb3関連の会社への投資も行っており、業界動向を古くから知っている数少ない日本人の1人です。3月に『「メタバースとWeb3』(エムディエヌコーポレーション)」を出版し、すぐに重版にもなりました。こちらの書籍も合わせて読んでおくとよいでしょう。
https://twitter.com/hkunimitsu
安宅 基氏(paji.eth)
Tokyo Otaku Mode共同創業者兼COO
日本のオタク文化を世界に発信する会社をやりながら、NFTやWeb3、DAOなどを実践しています。まずご自身で実践してから理解することを常にやっているので、体験から出てくる言葉はとても説得力があります。
https://twitter.com/paji_a
バーチャル美少女ねむ
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メタバースで活躍する美少女アバター。Eテレの「令和ネット論」にも出演し、また、近著『メタバース進化論――仮想現実の荒野に芽吹く「解放」と「創造」の新世界』(技術評論社)では詳細なデータに基づいた読み応えのあるメタバース論を展開しています。
https://www.youtube.com/c/nemchan_nel
伊藤穣一氏
千葉工業大学・変革センター所長
長年に渡って米・MITメディアラボ所長や同校での教授を務めた伊藤穣一氏は、最新の海外の情報についても発信しています。投資家でもあるので、ビジネス面からも技術的な面からも考察されている正統派の意見を知ることができます(なお2019年、MITメディアラボ所長時代に、複数の少女への性的虐待と児童買春で有罪判決を受けた実業家ジェフリー・エプスタインから資金提供を受けていたことが発覚したのち同職を含む複数の役職を辞任しています。その後日本でもデジタル庁の「デジタル監」への起用が見送られたこと含め、同氏の起用についてはさまざまな見解があることは付記しておきます)。
https://joi.ito.com/jp/
NFT、メタバースなどWeb3は、ツールであり使い方次第
詐欺のようなプロジェクトが増えてしまうと、Web3関連は下火になってしまい日本が世界から取り残されることになりかねません。日本政府も禁止しようとしているわけではなく、前向きに取り組もうとしています。
3月には、自民党の平将明議員が中心となって、「NFTホワイトペーパー案」を30ページほどにまとめました。ここには、広範囲に渡って現状の課題と政策・法律・税制に関する提言が書かれています。まだ、「案」の段階なので自民党内で検討し、国会に提出することになります。
また、日本政府もかなり本気の取り組みを検討していて、Web3を成長戦略として取り込むという可能性が高くなっているという話も聞きました。政府が動き出すと規制が入って、つまらなくなるという声もありますが、それよりも多くの人が安心して関われるようになることの方が大きいと思っています。そうしないとビジネスとして立ち上がらないですからね。
NFTやメタバースといったWeb3に関する用語は、なんとなくキラキラして最新の技術、新しいビジネス手法のように見えるかもしれません。しかし、これらは、あくまでもツールであって、使い方次第で面白いビジネスになることもあれば、人を騙す道具にもなります。だからこそ、NFTやメタバースがどういうものか、Web3と言われるものの本質がどこにあるのといった情報を正しく身に着けておくことが重要です。