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eスポーツが「スポーツ」となる功罪。日本代表チームの快進撃にみるマネーゲームの脅威【連載】ゲームジャーナル・クロッシング(6)
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  • 2021.05.25
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eスポーツが「スポーツ」となる功罪。日本代表チームの快進撃にみるマネーゲームの脅威【連載】ゲームジャーナル・クロッシング(6)

LoL Esports Twitterより

Jini

ゲームジャーナリスト

はてなブログ「ゲーマー日日新聞」やnote「ゲームゼミ」を中心に、カルチャー視点からビデオゲームを読み解く批評を展開。TBSラジオ「アフター6ジャンクション」準レギュラー、今年5月に著書『好きなものを「推す」だけ。』(KADOKAWA)を上梓。

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持続的かつ普遍的なeスポーツ

「eスポーツ」。この言葉が主にビデオゲームを扱う競技を指す言葉として国内外に普及して長らく経過するが、未だ「本当にゲームがスポーツになるの?」と疑問視する人は多いだろう。今年4月には国際オリンピック委員会が、eスポーツタイトルを競技種目とする初のオリンピックライセンスイベント「Olympic Virtual Series (OVS)」を正式発表したにも関わらず、SNSの反応を見ていると「eスポーツがオリンピックなんて…」という声は少なからずあった。

このeスポーツという概念に対する不信には、さまざまな根拠がある。やれ「暴力的な表現を許容できない」だとか「ゲーム依存はどうするんだ」など、あくまでeスポーツというよりビデオゲームへの疑問や偏見が多いが、一つだけ、ゲーム業界人をもってしても「これは痛い」と思わせる鋭い指摘がある。それは「ゲームは企業が営利目的で運営しているんだから、廃れたらどうするの?」というものだ。これは確かに大きな課題である。

しかし数あるeスポーツの中で、10年以上安定して運営され、しかも国際的に幅広く遊ばれる、稀有なeスポーツタイトルが存在する。それが『League of Legends』(以下、LoL)、MOBA(マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ)というジャンルのゲームだ。

知らない方に向けて一言で説明すると、RPG要素のあるラグビーに近い。5人でチームを組み、それぞれ前線、後衛、司令塔のような役割を担う。序盤はお互いにらみ合いながらお金を稼ぎ、少しずつ装備を整え隙を見て戦略拠点を確保し、最終的に敵陣を制圧すれば勝利。段階的に変化するゲームの流れと、150体以上の操作キャラクターと膨大な装備の組み合わせ、それらを含めた「今強い戦術は何か」「その戦術への対抗策はどうするか」というメタゲームの二重構造が、驚くべき奥深さを生み出している。

『LoL』は2009年にサービスを開始し、今年で運営12年目になる。そのうえ、『LoL』はeスポーツの中で最も国際的に広く遊ばれているタイトルであり、1カ月あたりのプレイヤー数は1億2000万人にも上る。また、日本を含め、EU、北米、中国、韓国、台湾、東南アジア、南米、ブラジル、オセアニア、ロシア、トルコ、12の地域で、チームが継続的に試合のできるプロリーグが常設され、1年で2度開催される世界大会では最大4500万人がオンラインで視聴した。eスポーツとなるゲームは数あれど、この規模でこれだけ持続的に運営できたタイトルは希少だ。(※)

※他には『CS:GO』、『Dota 2』等も『LoL』と同規模に有力だと見られている

次ページ:日本代表「DFM」の快進撃。だがその裏には

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