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罰則付きロックダウンで暴動発生!コロナストレスとどう向き合うか【連載】オランダ発スロージャーナリズム(32)
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  • 2021.01.29
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罰則付きロックダウンで暴動発生!コロナストレスとどう向き合うか【連載】オランダ発スロージャーナリズム(32)

※写真はイメージです。Photo by Shutterstock

昨年末、例年より少し早めのクリスマス休暇に入ったかのように始まったオランダのロックダウン。クリスマス、年末、お正月を、そのままロックダウン状態で過ごし、1月も後半。いまだに学校も始まらず。暫定解除日を待たずして早々に延長が決まり、とりあえず2月10日までのあと2週間。そして、その後は、またその時の様子次第という感じになっており、今や最低でも例年の夏休み(6週間)を超える8週間のロックダウンが決定しています。

飲食店、ホテルなどは閉店しているところも多く、そもそも街のほとんどの店は閉店。やっているのはスーパーと病院と、一部のデリバリーとテイクアウトできるお店ばかり。学校も休みとなって、再びのオンライン授業に移行しているものの、さすがにちょっと長いよね…。家での仕事も飽きてきたよね…。そもそもオンライン授業の子どもの面倒見ながらって、仕事にならないよね…。もう三食、家で作るのも飽きてきたよね…。おまけに1月23日からは門限(21時から午前4時半までの外出禁止時間)まで制定されちゃって…と、これまで幸せな国、フレンドリーでオープンな国と言われてきたオランダでも、徐々に国民のコロナストレスが高まってきている感じも見受けられます。

今回は、そんなロックダウン中のオランダの今を、レポートしてみます。

吉田和充(ヨシダ カズミツ)

ニューロマジック アムステルダム Co-funder&CEO/Creative Director

1997年博報堂入社。キャンペーン/CM制作本数400本。イベント、商品開発、企業の海外進出業務や店舗デザインなど入社以来一貫してクリエイティブ担当。ACCグランプリなど受賞歴多数。2016年退社後、家族の教育環境を考えてオランダへ拠点を移す。日本企業のみならず、オランダ企業のクリエイティブディレクションや、日欧横断プロジェクト、Web制作やサービスデザイン業務など多数担当。保育士資格も有する。海外子育てを綴ったブログ「おとよん」は、子育てパパママのみならず学生にも大人気。
http://otoyon.com/

外出制限に「罰金」がついに導入

誰もいないアムステルダムザウド駅前(アムステルダム南)。日本でいう東京駅的なところです。夜間外出禁止令が出る数日前の平日夕方に撮ったものですが、すでに人通りはほとんどありません

日本もなかなかに陽性者が増えてきているようですが、オランダのそれは日本の比ではありません。なんと言っても、全人口が1700万人ですから、母数が違いすぎるのです。にもかかわらず、毎日5000人以上、多いと1万人くらいの陽性者がいるのが現状です。

こちらのロックダウンは、もしそのルールに違反した場合はしっかりと罰金が伴うものです。「政府のお願いレベル」ではないのです。例えば、先述の夜間外出禁止に違反した場合は、95ユーロ(約1万2000円)の罰金です。

夜間外出禁止にも例外はいろいろとありますが、基本的には緊急事態の場合。ただ、犬の散歩はOKだったりします。これはアニマルウェルフェアの意識が高いことが根底にはあると思いますが。

このように罰金を伴う外出制限ですが、そもそもロックダウンになってからというもの、この時間に外出することはまったくなかったので、新たに罰金が課されるということ自体になんとなく重みを感じたりもします。

そのほか、このロックダウン中には友人の家の訪問をして良いのも一人のみ。外出も一人で、などなどの細かなルールがかなり多くあります。

また13歳以下の子どもはこうしたルール適用外だったりするのですが、いずれにせよ外出先もあまりなく、現在でも1カ月を超えて、ロックダウンがかなり長引いてきていますので、子どもも親も、ちょっとストレスが溜まってきている感じです。

それこそ、少しでも天気が良い日には公園や森が大勢の人で溢れています。街も、大半の店は閉店してるにもかかわらず、一部のテイクアウトできるカフェなどでは長蛇の列に。この長蛇の列が、またイライラを募らせたりして、なかなか以前のような暮らしとは程遠いのが実感です。

また子どもを持つ親の中には、子どもの世話と仕事の両立ができない親が学校に相談に行ったり、ストレスやコロナによる失業などの問題を抱える人が増えているようで、学校の先生には、そうした親への対応までもが求められているようです。

学校は、まずはオンライン化への対応、長引くオンライン授業のプログラム化、またさまざまな年間行事のキャンセル、縮小、延期対応などなど、先生が非常に頑張ってくれています。また、保護者がエッセンシャルワーカーである場合の特別通学授業対応、小さい学年向けの特別授業などもあります。なので当然、そうした先生のストレスも半端ないことが予想されます。

そしてそれは医療関係者、スーパーの従業員、運送関係、その他のエッセンシャルワーカーも同じでしょう。一般生活者もそれぞれにストレスを感じていると思いますが、重責を担うエッセンシャルワーカーのそれも、大変なものだと予想されます。

また、そうしたストレスを発散する場がないのも困ったものです。もちろんストレス発散の場ではないと思いますが、オランダ各地でも夜間外出禁止令をきっかけに、暴徒化したデモ隊が車を燃やしたり、店舗や駅、病院を襲撃したり、とんでもない状態になっており、警察隊と大衝突が頻発しています。

ニュースなどを追いかけていると、どうも「いわゆるデモ」ではなく、単純に暴徒化している集団も紛れておりサッカーなどのフーリガン的なノリの若者が大勢参加しているとのこと。TikTokやTwitterで参加を募っているところもあるようです。当初は「デモの自由を制限してはならない」との声もあったのですが、実態は明らかに、常道を逸して、暴徒化した集団が各地で暴れ、報道によると初日だけで250人から300人が逮捕され、2100件の罰金刑が課されたとのこと。

警察隊の馬が怪我をしたり、車の窓ガラスを破られたり、店舗が破壊された人たちの悲惨な姿が報道されると、すぐさまクラウドファンディングで寄付が集まったりしてはいます。また国王が、そうした寄付の行動が素晴らしいと声明を発表したりもしています。しかし、完全に常軌を逸した暴徒は、街のあらゆるものを破壊しており、明らかに行き過ぎな暴動が各地で起こっています。

ただ、日本でもNHKなど大手メディアで報道されており「オランダはこんなに酷いことになっているのか」と思うかもしれませんが、普通の生活をしていたら、よっぽど街の中心に住んでいなければ遭遇することもない、かなり“一部の現象”です全国で頻発しているものの。

もっとも小学校からのメールによると、ロックダウンを決定した政治家や政府には、嫌がらせメールや、ヘイトメールが山のように送られているようです。また、職を失った人も多いため、僻みや妬みからでしょうか?今、忙しくしている医療関係者などへの嫌がらせメールも非常に多いようです。

次ページ:小さなストレスがより大きなストレスを生む

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