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青木真也は「老い」をいかに受け入れてきたのか? 頭打ちの状況でも結果を出す処世術【連載】青木真也の物語の作り方〜ライフ・イズ・コンテンツ(11)
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  • 2020.10.01
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青木真也は「老い」をいかに受け入れてきたのか? 頭打ちの状況でも結果を出す処世術【連載】青木真也の物語の作り方〜ライフ・イズ・コンテンツ(11)

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15年以上もの間、世界トップクラスの総合格闘家として、国内外のリングに上り続けてきた青木真也。現在はアジア最大の「ONE」を主戦場とし、ライト級の最前線で活躍。さらに単なる格闘家としての枠を超え、自ら会社を立ち上げるなど独自の活動を行う。

そんな青木は、自らの人生を「物語」としてコンテンツ化していると明かす。その真相はいかに? 異能の格闘家のアップデートされた人生哲学が今ここに。

聞き手:米田智彦 構成:友清哲 写真:有高唯之

青木真也

総合格闘家

1983年5月9日生まれ。静岡県出身。小学生の頃から柔道を始め、2002年に全日本ジュニア強化選手に選抜される。早稲田大学在学中に、柔道から総合格闘技に転身。「修斗」ミドル級世界王座を獲得。大学卒業後に静岡県警に就職するが、二カ月で退職して再び総合格闘家へ。「DREAM」「ONE FC」の2団体で世界ライト級王者に輝く。著書に『空気を読んではいけない』(幻冬舎)、『ストロング本能 人生を後悔しない「自分だけのものさし」』(KADOKAWA)がある。

結果を運に委ねるための努力とは

勝負事にはいくら努力をしたところで、どうにもならないことがある。たとえば“運”だ。

格闘技の世界でいえば、対戦相手がどれほどの強敵であったとしても、たゆまぬ努力と研究で、どうにか勝利を引き寄せられることはある。ところが、実力は拮抗していても、ツキに完全に見放されてしまえば、あっさりと負けてしまうことだってある。これが勝負の非情なところだ。

でも、ここで重要なのは、最終的に勝敗を分かつ要因を運に求められるところまで、そのプロセスにおける取り組みを充実させられるかどうか、である。

「良い取り組み」と「悪い結果」が組み合わされば人は、それを「不運だった」と言うだろう。逆に、「悪い取り組み」だったが「良い結果」が出たのであれば、人は「ラッキーだった」と感じるに違いない。そして「悪い取り組み」によって「悪い結果」が出るのは当然であるし、その勝負はそもそも失敗であったと考えるべきだ。

理想はもちろん、「良い取り組み」によって「良い結果」を導き出すことだが、これがなかなか難しい。どれだけ努力をしたところで、必ず結果が伴うとは限らないことを、僕たちはよく知っている。

しかし、残念ながら「悪い結果」が出た場合でも、そのプロセスの充実度に絶対的な自信があれば、人は「運がなかった」「今日は相手の日だった」などと納得することができる。問題は、そこまで自分を磨き上げることができるかどうかだ。

数ある競技の中でも、打撃や締めなどあらゆる攻撃を駆使する総合格闘技は、とりわけ偶然が大きく作用する競技だと僕は感じている。だからこそ、最終的には運に委ねられるレベルまで、プロセスにおいて努力をしなければならないのだ。

一方で、勝敗にこだわり過ぎるのも良くない。結果にばかり固執すると思考が貧しくなってしまうからだ。最大限の取り組みができたのであれば、勝敗はあくまでスパイス程度に考えておくのがいいと僕は考えている。

僕自身の戦歴を振り返っても、たとえば10年前に「Dynamite!!」で行なわれた長島☆自演乙☆雄一郎との一戦などは、結果こそ僕の2ラウンドKO負けではあるが、非常に意義のある試合だったと思う。この顔合わせが実現したこと自体が大きな話題を呼んだし、何より僕の戦い方に賛否の声があがったことで、今なおファンの間で語り草になっている。主語が僕の側にある点も踏まえて、これこそ受け入れるべき結果と言えるだろう。

次ページ:老いが与えてくれた思考プロセス


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