CULTURE | 2020/07/20

楽屋ドロボーを繰り返す37歳ピアニスト、音楽以外の仕事を意地でもしなかった理由とは【連載】阿曽山大噴火のクレイジー裁判傍聴(15)

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阿曽山大噴火
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阿曽山大噴火

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月曜日から金曜日の9時~5時で、裁判所に定期券で通う、裁判傍聴のプロ。裁判ウォッチャーとして、テレビ、ラジオのレギュラーや、雑誌、ウェブサイトでの連載を持つ。パチスロもすでにプロの域に達している。また、ファッションにも独自のポリシーを持ち、“男のスカート”にこだわっている。

「次は見つからないように」泥棒として反省点が脳裏をかすめる

今回は、指揮者など音楽の仕事をしていた無職のL被告人(37)が、コンサート会場のリバーサル室に侵入し、楽屋ドロボーした裁判レポートの後半戦。去年の12月に港区で計27万8800円、今年の3月に中央区で9050円入りの財布を窃盗。前科1犯で、去年の11月にも窃盗で逮捕され、今年の1月に懲役1年6月執行猶予3年の判決が言い渡されていました。法廷では、情状証人として出廷したL被告人の父親がすすり泣く一幕も。では、早速、前回の続きから。

弁護人「判決から2カ月で中央区の事件起こしてますけど、執行猶予の判決があなたにとって軽かったんですかね?」
L被告人「結果的に軽く見てました」
弁護人「もう一つの港区の事件。保釈中にやったのは何故なんですか?」
L被告人「今にしてみれば、してはいけないと後悔しています」

質問には答えず、反省の弁を述べると、

弁護人「そりゃ、そうなんだけどさ。家に戻ってきて、両親もいろいろ言ってたのではないですか?」
L被告人「はい、そうです…」
弁護人「あなた自身ももうしないと思ってたんじゃないですか?」
L被告人「そうですが、次は見つからないようにと思ってしまいました」

なんで逮捕されたことで、泥棒としての反省点が浮かんでくるのやら。侵入盗が誇れる行動、仕事なら努力を惜しまず向上心のある男ってことになるんだろうけど。やっぱり、判決が出る前で、保釈から3日しか経ってないのに同じ犯行をするってかなりの思考だなと思ってしまいますね。

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