アートセンターに併設されているレストラン「メディアマティック」では、個室ダイニングとでもいうべき、これまでの「効率性」をまったく無視した新しい提案がなされ現在テスト中
吉田和充(ヨシダ カズミツ)
ニューロマジック アムステルダム Co-funder&CEO/Creative Director
1997年博報堂入社。キャンペーン/CM制作本数400本。イベント、商品開発、企業の海外進出業務や店舗デザインなど入社以来一貫してクリエイティブ担当。ACCグランプリなど受賞歴多数。2016年退社後、家族の教育環境を考えてオランダへ拠点を移す。日本企業のみならず、オランダ企業のクリエイティブディレクションや、日欧横断プロジェクト、Web制作やサービスデザイン業務など多数担当。保育士資格も有する。海外子育てを綴ったブログ「おとよん」は、子育てパパママのみならず学生にも大人気。
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「COVID-19 からの復興は、『通常通りのビジネス』への回帰であってはならない」というのは、パリ協定に基づく気候変動に対してアクションを共に起こそうと世界96の市が参加している、世界主要都市の気候変動対応ネットワーク「C40」でのポストコロナに向けた提言です。
ヨーロッパでは、おおよそ2カ月ほど続いた自粛期間を経て、今、そろりそろりと「自粛解除」へと歩が進められています。もちろん、これはまだまだ手探り状態でドイツや英国ではさっそく「感染者が再び増加した」というニュースも聞かれています。
日本も含めて世界中がCOVID-19によるパンデミックに巻き込まれています。こうした事態に陥ってしまったことで、世界は団結して情報やナレッジを共有して、これに対峙しなくてはならなくなりました。
そこで今回は、ヨーロッパではCOVID-19に対して、どのような対策が立てられているのか?COVID-19以降の世界はどうなっていくのか? いや、どうしていきたいと考えているのか? オランダからお伝えします。
「元の世界」には戻らせない
日本でも「ニューノーマル」と言われている新生活様式が提言されていますが、ご承知のように「元の世界には戻れない」ということを前提にしないといけないのです。そうです。私たちの生活は変わるのです。ただ、日本の場合、新しい生活様式に関しての提言はあったように思うのですが、どういう世界になるのか?、いや、どういう世界にしていきたいのか?という主体性というか、グランドデザインには欠けたものだったというのが、筆者の印象です。
ここで、先に挙げたC40のCOVID-19に対して9つの提言を見てみます。これは、ヨーロッパで語られている「ポストコロナ」の前提になっているように感じます。ここには「どういう世界になるか?」ということよりも、明確に「どういう世界にしていきたいか?」ということが語られています。ヨーロッパの実情を鑑みながら訳をしてみます。
1, コロナ後の世界では「今まで通りのビジネス」に戻るべきではありません-なぜなら、それは地球温暖化の観点で見ると、3℃以上もの気温上昇が進む世界だからである。
2, 何よりも、都市に住む人々の安全を確保するために、ポストコロナにおいては公衆衛生と科学的専門知識を尊守し、リードしていかなければならない 。
3,復興に向けては、優れた公共サービス、公共投資、そして地域社会の回復力を向上させることが最も効果的な基盤となる。
4,今回のパンデミックで明らかになった公平性の問題にも取り組まなければならない。例えば、今回、必要不可欠と、市民が認識した労働者は、その名に負った補償をされるべきであり、また政府はインフォーマルな居住地で暮らす人々をも支援しなければならない。
5,復興後は、都市とコミュニティの「レジリエンス」を向上させなければならない。そのため、気候変動を含む将来の脅威から身を守り、気候変動や健康リスクの影響を受ける人々を支援するための投資を行うべきである。
6,気候変動対策は、新技術の利用を促進し、新たな産業を生み出し雇用を創出する。これらを通じて経済の回復を加速させ、さらに社会的公平性を高めるのに役立たせる。これらは住民、労働者、学生、企業などすべての人にとって、より広い利益をもたらすだろう。
7,私たちは、COVID-19からの復興に全力で取り組み、健康的で平等で、そして持続可能である社会を作ることを約束します。
8,各市に対しての支援、あるいは各市に必要な投資を行い、健康的で平等、かつ持続可能な経済回復を実現することを確実にするために、各市民の声と個々の行動を、政府に届けます。
9,国際機関や地域機関が、健康的で平等、かつ持続可能な経済回復を促すために、都市に直接投資することを確実にするために、各市民の声と個人の行動を届けます。
これは2020年5月7日にロンドンで開催された、C40’s Global Mayors COVID-19 Recovery Task Forceの第1回目の会議で採択された宣言です。多くの欧米の都市に混ざって、アジアからは香港とソウルのみが、ここに参加したようです。