EVENT | 2023/11/06

各時代のトップクリエイターたちが手がけた
パルコの広告、50年分の歴史を
イッキ見できる展覧会が11月17日から開催

文:FINDERS編集部

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渋谷PARCO開業50周年を記念したPARCOの広告表現を通覧できる展覧会『「パルコを広告する」 1969 - 2023 PARCO広告展』が11月17日から12月4日まで東京・PARCO MUSEUM TOKYOで開催される。

本展は、渋谷PARCOが開業した1969年から、同社が手がけてきたポスターやテレビCMといった広告クリエイティブを、年代ごとに異なるキュレーターがセレクトしたものが並ぶ。

そもそも“PARCOの広告”といえば、石岡瑛子や糸井重里など著名なクリエイターを若手時代から積極的に起用し、最先端のデザインや表現方法、広告コピーによるクリエイティブワークが行われてきたものだ。それは単なる販売促進にとどまらない、企業の「表現」としての役割も担い、時代の文化を彩ってきた。本展はそんな広告とともに渋谷PARCOや、渋谷PARCOとともに育まれてきた文化の歴史を振り返り、現在の視点から再解釈する試みとなっている。

会場は「予言」(1970年代)・「広告」(1980年代)・「渋谷」(1990年代)・「アート」(2000年代以降)と、その時代を象徴するキーワードとともに、4つの年代に分けられており、キュレーターたちの対談によって選ばれたポスター・CM作品が並ぶ。またキュレーターの対談内容は会場内で上映されるほか、販売される公式リーフレットにも掲載予定。

【各時代のテーマとキュレーター一覧】

①1970年代 「予言」

ゲストキュレーター 上野千鶴子(社会学者)、はらだ有彩(テキストレーター)

アバンギャルドな表現と伝統回帰、ハイカルチャーとサブカルチャーなど相反する価値観の併存は、この時代のパルコの広告表現、文化活動全般の特徴でした。それは現代の多様性を肯定する「予言」の時代でした。

【展示広告例】

「モデルだって、顔だけじゃダメなんだ。」1975年 AD:石岡瑛子 C:長沢岳夫 P: 横須賀功光

「1977 SUMMER」1977年 AD:長谷川好男 I:山口はるみ

石岡瑛子がアートディレクターを務めた広告

②1980年代「広告」

ゲストキュレーター 椹木野衣(美術批評家)、菅付雅信(編集者)

表層的には明るく軽やかでありながらも、ある種“難解”さを漂わせていた「広告」は、表現ジャンルの花形であり、トップクリエイターが時代相の切り取りを競うことで、より洗練されていった時代でした。

【展示広告例】

「昨日は、何時間生きていましたか。」1985年 AD:井上嗣也 C:仲畑貴志 P:加納典明

「狩人か。旅人か。」1983年 AD:井上嗣也 C:糸井重里 P:十文字美信

糸井重里がコピーライトを手がけた広告
「狩人か。旅人か。」

③1990年代「渋谷」

ゲストキュレーター 野宮真貴(歌手・エッセイスト)、千葉雅也(哲学者・作家)

1990年代に入り、「渋谷」は日本におけるストリートカルチャーの中心地となりました。特に渋谷系の音楽やガーリーカルチャーは親和性が高く、その代表格である方々がパルコの広告に颯爽と登場しました。パルコの広告を媒介に「渋谷」へ世界の才能が集い、共振、そして広がっていった時代でした。

【展示広告例】

「いっそ、美人に。」1998年 AD:秋山具義 C:糸井重里 P:エンリケ・バドレスク

「やっぱり、友だちだよね。」1996年 AD:タイクーングラフィックス C:加藤麻司 P:ソフィア・コッポラ

「HAPPY BIRTHDAY P'PARCO」1996年 AD:信藤三雄 P:稲葉ゲン

信藤三雄がアートディレクターを務めた広告
「HAPPY BIRTHDAY P'PARCO」

④2000年以降「アート」

ゲストキュレーター  布施琳太郎(アーティスト)、野村由芽(編集者・文筆家)

2000年代を境に広告を含む文化状況の中で「アート」が存在感を増し、今や「アート」は国民的コンテンツになりました。同時並行でデジタル表現も拡大し、広告表現も変化していきました。目まぐるしい変化がある現在ですが、パルコの広告は「アート」と共存し合い、イメージの喚起力に賭ける流儀を絶やさずに表現されています。

【展示広告例】

「PARCO SAYS,」2005年 AD:箭内道彦 C:山本佳宏 P:重森豊太郎

「NO MORE IMAGE! PARCO」2001年 AD:佐藤可士和 C:谷山雅計 I:谷田一郎

佐藤可士和がアートディレクターを務めた広告
「NO MORE IMAGE! PARCO」

そのほか会場では、展覧会公式リーフレットと記念グッズが販売される予定。


『「パルコを広告する」

期間:2023年11月17日(金)~12月4日⁠(月)
会場:PARCO MUSEUM TOKYO
料金:無料