EVENT | 2024/05/19

「世界でもっとも過酷な400メートル走」は、
「世界でもっとも達成感のある400メートル走」だった!
Red bull 400 2024参戦レポート

2024年5月18日、札幌大倉山ジャンプ競技場で開催

文・写真:カトウワタル(FINDERS編集部)

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最高斜度37度、超急斜面を駆け上がる究極の坂道ダッシュ

レッドブル・ジャパンは、5月18日(土)に札幌大倉山スキージャンプ競技場にて、ヒルクライムのスプリントレース「Red Bull 400 (レッドブル・フォーハンドレッド)」を今年も開催した。

FINDERS編集部からは、昨年船岡による女子部門への参加レポートをお届けしたが、今年は男子部門に加藤 (53歳) がエントリー。数あるレッドブルのイベントでも最大級の盛り上がりを見せる会場の様子とともにお届けしたい。

Red Bull 400は、標高差約130m、最高斜度は37度、ワールドカップでも使用されるラージヒルスキージャンプ台の超急斜面を駆け上がるレースで、「世界でもっとも過酷な400メートル走」ともいわれる。2011年にオーストラリアではじめて開催、ここ日本においては2017年から行われ、今年で7回目の開催となる。(2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止)

プロ・アマ問わず、4人1組のチーム・個人どちらでも参加可能で、会を追う毎に知名度、参加人数も拡大。2017年の第1回大会では500名に満たなかった参加者が、今回は1,644名と史上最大規模の開催となった。

Red Bull 400の舞台となる札幌大倉山スキージャンプ競技場

会場を盛り上げるRed Bull 400 2024 パートナーやキッチンカーが多数出展

会場内には、RED BULL 400のコースと同じ最高傾斜37度を駆け上がることができる走破性能を持つオフローダー 「ディフェンダー」や、150年以上の歴史を持つタイヤブランドBFグッドリッヂをはじめ、今年6月にローンチ予定のスポーツブランド「UNBORDER」、高い機能性を誇るトレイルランニングシューズなどを展開する「On」、着るだけで血行促進をサポートするウェアブランド 「リライブウェア」などのパートナーのブースや、「AZUMASI」や「肉処くろべこや」、「札幌海鮮丸」といった地元札幌の人気店によるキッチンカーが並び、レッドブルイベント恒例のDJやMCとともに会場を盛り上げた。

スイス発祥のスポーツカンパニー「On」のブースでは参加者にトレイルランニングシューズの貸し出しを行っていた

最大心拍数189!想像以上の過酷さに参加したことを後悔?!

そしていよいよレース開始。レースは年齢順に60数名のヒートに分かれて15分毎に出走し、53歳の加藤は上から2番目のヒート。スタート前の準備運動を済ませスタートラインに立つとなんとも言えない雰囲気の緊張感が漂う。スタートの合図があり横一線に走り出すと目の前には最大斜度37度の坂、いや壁が立ちはだかる。

序盤こそ立った状態で進むことができたもののすぐに四つん這いにならないと進めなくなり、「なぜこんなことになった?」と後悔。ようやく半分を越えたあたりで上を見るとゴールはあり得ないくらい遠い。景色を楽しむ余裕などもちろんなく、レース参加中の視覚的な記憶といえば足下に延々と続いた毛足の長い人工芝とロープ、そしてゴール前に組まれた100メートルほど続く木工の階段ばかりだ。

もう何度も何度も「無理!リタイヤしよう!」という気持ちを誤魔化しつつ、休みながらも少しずつ登りゴール目前に後ろを振り返るともう数人しかいない。そしてようやくゴール。結果は60人中54位、タイムは10分39秒とふがいない結果に。心拍数も最大189まで上がり、ゴール後もしばらく130を下回らず、息苦しさだけでなく肺の奥に何かが詰まったような感覚がありしばらく咳が止まらなかった。まさに 「世界でもっとも過酷な400メートル走」 を身をもって体感することとなった。

レーススタート付近の様子
ゴール直前の急斜面を這うように急斜面を昇る参加者たち
ゴール付近や救護室はまるで野戦病院のよう、数多くの参加者が倒れ込んでいた

会場全体がポジティブな雰囲気に包まれたイベント

しかしながら、結果はともかくRed Bull 400の会場で感じたのは、会場全体から溢れ出てくるような熱いエネルギーだ。なんとかリタイヤせずゴールできたのも、側道から声をかけてくれるスタッフや観客の皆さんのおかげだと思う。ゴール付近ではすれ違う人々がみな「ナイスラン!」と声を掛け合い、レッドブルの明るいスタッフがこれ以上ないタイミングで最高に美味しいRed Bullを手渡しながらねぎらいの言葉をかけてくれる。また、スタート付近にリフトで降りると、北海道ハイテクノロジー専門学校の生徒の皆さんが溢れんばかりの笑顔でストレッチなど体のケアまでしてくれた。

レース後にはスタッフがよく冷えたレッドブルを手渡してくれる
北海道ハイテクノロジー専門学校の生徒さんにストレッチしてもらう加藤

見どころ満載の決勝レース!優勝は4年連続の偉業を達成した田中聖土選手

さて、レースに話しを戻すと、今回も種目はフルディスタンス個人(男子、女子)、4×100メートルリレー(男子、オープン、学生チーム対抗)が行われ、特に個人フルディスタンス男子は見どころ満載のレースとなった。

決勝に進んだのは、予選をトップで通過した “階段王になる男” 渡辺良治選手。超高層ビルやタワーの非常階段を一気に駆け上るステアクライミングの第一人者だ。さらに三連覇中の秋田県出身で札幌市在住の公務員・田中聖土選手や、プロトレイルランナーの反中祐介選手など実力者が揃い、2019年に3分23秒13の大会記録を出した上田瑠偉選手もエキシビジョンにて参加した。

そして結果は、田中聖土選手が3分35秒16で見事四連覇の偉業を達成、2位には3分40秒84でヤマモトマサハル選手、3位には渡辺良治選手が3分42秒40で続いた。

写真左より、第2位のヤマモトマサハル選手、四連覇を達成した田中聖土選手、第3位の渡辺良治選手

「二度と走りたくない!」が、今まで味わったことのない達成感

体のいたるところにダメージは残されてはいるが、会場のポジティブな雰囲気からパワーを貰いつつ、ようやく息も落ち着くと、レース後時間が経つと徐々に今まで味わったことのない達成感がこみ上げてきた。完走者にプレゼントされるメダルを受け取ったときは涙が出そうになったし、改めてリフトに乗ってゴール地点まで上がると、「よくこんな所を登って来られたな〜」 などと自分を褒めたくなった。ただ、札幌大倉山ジャンプ競技場下に広がる札幌の美しい風景を見ても決して 「また走りたい!」とは思わなかった。(汗)

しかしながら、「世界でもっとも過酷な400メートル走」は、会場全体を覆う明るく元気でポジティブなエネルギーを感じることのできる、「世界でもっとも達成感のある400メートル走」だった。レッドブルによるとRed Bull 400 は来年も開催予定とのこと。興味のある方は是非チャレンジしてみてはいかがだろうか。

完走者プレゼントされるずしりと重みのあるメダル
ゴールの頂上付近からの景色

開催概要

Red Bull 400

開催日:2024年5月18日(土)
会場:札幌大倉山ジャンプ競技場(北海道札幌市中央区宮の森1274)

協議結果

男子シングル 決勝
1位 田中 聖土 3分35秒16
2位 ヤマモト マサハル 3分40秒84
3位 渡辺 良治 3分42秒40

女子シングル 決勝
1位 沢田 愛里 5分05秒55
2位 大滝 まゆみ 5分16秒77
3位 Toida Miku 5分31秒89

男子4×100mリレー 決勝
1位 Runway 2分24秒11
2位 即席RC 2分29秒68
3位 TWIST SAPPORO 2分30秒80

オープン4×100mリレー 決勝
1位 頭文字M 2分55秒35
2位 ビンブラスチン 3分14秒25
3位 ちーむ ゆうぽよ 3分25秒51

学生チーム対抗4×100mリレー 決勝
1位 Tokai Phenix 2分16秒13
2位 ナチュリラ 2分24秒53
3位 ↓2位以下の方々 2分26秒62

大会URL:https://www.redbull.com/jp-ja/events/red-bull-400

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