マーク・レッキー個展「FIORUCCI MADE ME HARDCORE FEAT. BIG RED SOUNDSYSTEM」
エスパス ルイ・ヴィトン東京では、イギリス出身のアーティスト「マーク・レッキー」による個展「Fiorucci Made Me Hardcore feat. Big Red SoundSystem」を2月22日(木)より開催している。本展は、東京、ミュンヘン、ヴェネツィア、北京、ソウル、大阪のエスパス ルイ・ヴィトンにて開催する「Hors-les-mur(壁を越えて)」プログラムの一環として行われているものだ。
マーク・レッキーは、1980年代末のイギリス、ロンドンで頭角を現した「ヤング・ブリティッシュ・アーティスト」(ダミアン・ハースト、トレイシー・エミン、サラ・ルーカスなどを含む)の世代に属するアーティストだ。1990年代後半からは、新しいテクノロジーや情報アクセスの急激な変革をきっかけに、いくつかの作品を送り出しており、なかでも彼のパフォーマンスやプレゼンテーション作品《The Long Tail》(2009年)は、2004年にイギリス系アメリカ人の作家 クリス・アンダーソンが提唱した「ロングテール」という概念から生まれたもので、インターネットが可能にする広範囲な流通により、ニッチな消費行動も利益の源泉になり得ると主張して制作されたという。同様に、レッキーは人間が身の回りの消費物と共存することに魅了され、工業製品とのコミュニケーションをもとにしたアニミズム的実践という、拡張された彫刻の概念についても提案している。
自身を取巻く文化的、物質的環境からインスピレーションを得るレッキーの世界は言うまでもなく、オンラインかつデジタルで、サイバネティクス技術と生体工学技術に支えられている。また、自身が夢中なモノたちを作品によく登場させることでも知られ、レッキーの言葉によると「私はフェティシストで、モノを偏愛し、強く惹き付けられて、執着して、どうにかしてそれらを所有しなければと思っています。なぜならそのモノたちが、私を所有しているように感じるから。それに対してある種の応答をしたいのです」とのこと。
漫画のキャラクターである「フィリックス・ザ・キャット」を作品《Felix the Cat》(2013年)に取入れたのも、1928年に初めてテレビで放映された最初のキャラクターを、デジタル時代の幕開けのシンボルとしたのかもしれない。
マーク・レッキー個展「FIORUCCI MADE ME HARDCORE FEAT. BIG RED SOUNDSYSTEM」の会期は8月18日まで。
マーク・レッキー
1964年イギリスのバーケンヘッド生まれ。現在はロンドンを拠点に活動している。労働者階級の家庭に生まれ、リバプールの対岸にあるマージー川西岸の小さな街で幼少期を過ごした。サッカーのフーリガンや、デザイナーズファッションが混在する若者のサブカルチャーの中心地で育ち、1990年にニューカッスル・ポリテクニックを卒業し文学士号を取得、1997年にロンドンに移住した。
レッキーの多岐にわたる活動は、ポップカルチャーとカウンターカルチャーの交差点に位置し、若者、レイヴ、ポップ、ノスタルジー、社会階級研究、イギリス史などを掛け合わせ、レディメイドの教えに従って彫刻、映像、音、パフォーマンス、そしてコラージュまでをも融合させている。1990年代後半からは、大衆文化とテクノロジーの関係性を問う作品群を発表。2008年にはターナー賞を受賞している。
ユリア・シュトシェク財団(ベルリン、2020年)、テート・ブリテン(ロンドン、2019年)、デンマーク国立美術館(コペンハーゲン、2017年)、MoMA PS1(ニューヨーク、2016年)、ハウス・デア・クンスト(ミュンヘン、2015年)、ハマー美術館(ロサンゼルス、2013年)、サーペンタイン・ギャラリー(ロンドン、2011年)、グッゲンハイム美術館(ニューヨーク、2008年)などで個展を開催。
また、ニューヨーク近代美術館、ロサンゼルス近代美術館、テート・ギャラリー(ロンドン)、ポンピドゥー・センターとフォンダシオン ルイ・ヴィトン(共にパリ)のコレクションに作品が収蔵されている。
マーク・レッキー個展
「FIORUCCI MADE ME HARDCORE FEAT. BIG RED SOUNDSYSTEM」
会期:2024年2月22日〜2024年8月18日
会場:エスパス ルイ・ヴィトン東京
住所:東京都渋谷区神宮前5-7-5 ルイ・ヴィトン表参道ビル7階
TEL:0120-00-1854
開館時間:12:00〜20:00
休館日:ルイ・ヴィトン表参道店に準ずる
料金:無料