時代を超えて愛される名作椅子100脚から20世紀のデザインを解き明かす『椅子とめぐる20世紀のデザイン展』開催

時代ごとの象徴的な名作でつくられた5つの部屋も展示

名作椅子100脚と共に20世紀のデザイン史を振り返る展示『椅子とめぐる20世紀のデザイン展』が2月29日から3月18日まで日本橋高島屋S.C.で開催される。大阪高島屋、ジェイアール名古屋タカシマヤでの巡回展も開催される。

本展は、椅子研究家の織田憲嗣のコレクションである「織田コレクション」から厳選した100脚の名作椅子を通じてアール・ヌーヴォー、バウハウス、ミッド・センチュリー、イタリアン・モダンまで、20世紀100年におけるデザインの変遷を年代順に概観し、時代の精神や科学技術の進展が反映されるデザインを見ることができるもの。

織田コレクションとは、椅子研究家の織田憲嗣が収集、研究してきた20世紀のすぐれたデザインの家具と日用品のコレクションを指す。北欧を中心とした椅子やテーブルから照明、食器やカトラリー、木製のおもちゃまで多岐にわたり、椅子1350点、陶器3500点、各種資料2万点など数々の名作が集められている。また写真や図面、文献などの資料を含め系統立てて集積されており、近代デザイン史の変遷を俯瞰できる学術的にも極めて貴重な資料として世界的にも高い評価を得ている。

展示では椅子の他にも、食器、インテリア製品、キッチン用品、家電製品、事務用機器など幅広い身近な品々の優れたデザインも展示される。

さらに時代ごとの名作椅子と家具、食器などの小物、照明をコーディネートし映像や音楽も交えながら展示する「時代を象徴する5つの部屋」や、名作椅子に実際に座ることができるコーナーも設けられている。

展示構成は以下の通り。

第1章は1880年代に確立され、20世紀初頭に流行したデザイン様式「アール・ヌーヴォー」に着目。続く第2章では、簡素で機能と形態が融合したデザインが生み出され、合板やスティール・パイプといった新素材や、幾何学的な形態が用いられる1910年から1930年ごろにかけてのモダニズムの時代に着目される。さらにバウハウスやフランスで活躍したデザイナーたちをテーマにした「時代を象徴する部屋」も用意されている。

20世紀の中頃に焦点を当てた第3章では、戦後復興と科学技術によってもたらされた、デザイン黄金時代の名作が並ぶ。「時代を象徴する部屋」として3ｍを超える大きなテーブルに、デザイナーがすべて異なる名作椅子が並ぶ「ノルディック・モダンのティー・パーティー」や成型合板を用いた三次元曲面の椅子や、プラスティックなど新素材を用いた名作が並ぶ「アメリカン・ミッド・センチュリーのくつろぎ」が用意されている。他にも1950年から1953年の短期間のみに製造されたチャールズ＆レイ・イームズの「ロッキング・チェアRAR」のような希少な椅子が多数展示される。また、柳宗理の「バタフライ・スツール 」のようなアメリカや北欧のミッド・センチュリー・モダンの影響を受けたデザイナーたちによって、日本の文化と融合させた名品も展示される。

第4章では、カラフルで斬新なデザインが生まれた60年代からポストモダニズムが生まれた70年代、終息を迎える90年代の名作が紹介される。時代を象徴する部屋としてモダンな大人の部屋、元気な子供部屋、個性的な照明に注目したい「イタリアン・モダンの2つの部屋」が用意されている。

エピローグとして座り比べができる体験コーナーと、名作椅子のある暮らしを紹介するミニシアターも展示されている。

時代を作り、そして時代を超越した名品を通して、よりよい未来を描こうとするデザイナーの情熱や、当時の人々の暮らし、優れたデザインと時代の密接な関係を感じることができるだろう。

---