EVENT | 2024/07/23

顧客体験(CX)の最新事例とソリューションを紹介
Contentsquare 「CX Circle Tokyo 2024」 が開催

「ロストジャーニーからお客さまを救う冒険へ!」

Contentsquare

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本年度のグローバルテーマは 「Level up your CX game」。

デジタル顧客体験分析のグローバルリーダーである Contentsquare (コンテンツスクエア)は、2024年6月5日(水)、顧客体験 (CX:Customer eXperience) の最新事例とソリューションに触れるグローバルイベント 「CX Circle Tokyo 2024」 を開催、さまざまな業界のブランド運営企業でCX改善に取り組むリーダーたちと、それを支援するテクノロジーやコンサルティングを提供するパートナー企業から、総勢350️人が参加した。

本記事では当日の様子をダイジェストでお伝えしたい。

世界各地で開催される 「CX Circle」 の本年度のグローバルテーマは 「Level up your CX game」。ブランド運営者とその顧客の双方にとってデジタル世界をより良い場所にしていくため、CX改善の取り組みを一緒になってレベルアップしよう ーー そんな想いを込めたテーマだ。

日本ではさらに独自のテーマとして 「ロストジャーニーからお客さまを救う冒険へ!」 を掲げ、イベントの開幕にあたってのオープニングリマークスとして、Contentsquare Japan カントリーマネージャーである伊奈 憲一郎がこのテーマの意図を語った。

Contentsquare Japan  カントリーマネージャー  伊奈 憲一郎

「ロストジャーニー」とは、CXをレベルアップするための重要なキーワードです。カスタマージャーニーを設計された通りに歩んでいる顧客は、実際にはごく僅かです。なぜならばジャーニーのそこかしこにフリクションがあり、顧客を困惑させ、離脱や離反を招いているからです。

ロストジャーニーをプロフィットに変えていくには、そうしたフリクションを見つけ出し、取り除いていかなければなりません。これは、ブランド運営者の皆さまにとっての新しい冒険です。Contentsquareやパートナーは、その冒険にご一緒し、支援いたします。さぁ、その旅に出ましょう!

実際のカスタマージャーニーには、お客さまを困惑させて離脱を招く「ロストジャーニー」がいたるところに存在している。

さらに伊奈は、Contentsquareが提供するソリューションの位置づけと、今後の進化についての展望も共有した。

顧客体験アナリティクス(DXA:Digital eXperience Analytics)は、顧客行動の膨大かつ詳細なデータからエビデンスとビジネスインパクトを明らかにし、ブランド運営者が確信を持ってUI/UXの改善を進められるよう支援します。ContentsquareはDXAに加えてデジタル体験モニタリング(DEM:Digital Experience Monitorinig)によるパフォーマンス監視機能も提供し、特にアクイジションやエンゲージメントの改善に寄与してきました。

昨年(2023年)に買収したHeapのプロダクトアナリティクス(PA:Product Analytics)は、特にリテンションやLTV(顧客生涯価値)を向上させるための分析に強みを持つソリューションです。そのHeapと従来のContentsquare製品群を2025年に統合する予定で、機能レベルの連携を2024年6月から段階的にリリースを開始します。

Contentsquareは従来から提供してきたDXA、DEMに加え、2023年に買収したHeapのプロダクトアナリティクスも併せて提供していく。
機能レベルの連携を2024年6月から順次リリースし、2025年には製品統合を予定している。

新世代メーカーAnkerが明かす顧客目線の持ち方

続くオープニング・キーノートに登壇したのは、アンカー・ジャパンの代表取締役CEO 猿渡 歩 氏だ。

CMO XのFounderでありキンドリルジャパンのVice President, CMOを務める加藤 希尊 氏をナビゲーターにしたこのセッションでは、「事業も組織も成長させるために、顧客目線をどう持つべきか」という観点で、爆発的な速度で成長を続けるアンカー・ジャパンの経営の根底にある顧客目線を重視した戦略から、具体的な取り組み、顧客との関係性のあり方、顧客の声を製品やサービスにフィードバックする仕組みの創り方までを、猿渡氏に聞いた。

ナビゲーターを務めたキンドリルジャパン Vice President, CMO の加藤 希尊氏 (左)と、アンカー・ジャパンの代表取締役CEO 猿渡 歩氏 (右)

【事例セッション】日本最大級のレディースファッション通販サイト 「GRL」 が実行する顧客体験向上に向けた取り組み

続いて、デジタル顧客体験の改善に実際に日々取り組んでいるリーダーたちがその事例や知見を共有するセッションが行われた。トップバッターは、レディースのプチプライス・ファッションをオンラインチャネル (ウェブサイトとモバイルアプリ) で展開する 「GRL(グレイル)」 。同ブランドは、リーズナブルな価格設定から若年層の女性に支持されており、継続的な売上の成長を遂げている。

このセッションでは、GRLにおいてContentsquareを利用することで得られたインサイトや、顧客体験の取り組みについて、GRLを運営するアートデコで外部CIOを務める小林 直樹氏と、ContentsquareのソリューションパートナーであるDearOneのグロース事業本部 グロースマーケティング部 カスタマーサクセスマネージャー麻野 宏史 氏が語った。

アートデコ 外部CIO 小林 直樹氏(写真中央)と、DearOne カスタマーサクセスマネージャー麻野 宏史 氏(写真向かって右)。従来GRLで利用していたソリューションでも課題があるページの特定までは可能だったが、原因とその事象の影響によるビジネスインパクトまでは特定できていなかったという。Contentsquareの導入によって、それらを把握できるようになったとする。

顧客解像度を高め、瞬間を捉えたハイパーパーソナライゼーション

続いてのセッションに登壇したのは、ContentsquareのテクノロジーパートナーであるBrazeでシニアカスタマーサクセスマネージャーを務める紺野 賢 氏。

同社は、顧客の属性・行動・嗜好に基づくリアルタイムかつマルチチャネルでのハイパーパーソナライゼーションを実現する新時代のカスタマーエンゲージメントプラットフォームを提供している。Contentsquareで顧客解像度を高め、Brazeでリアルタイム施策を展開することによって、ハイパーパーソナライゼーションを具現化できるという。このセッションでは “実現できること” に焦点を絞り、事例を交えて紹介した。

Braze シニアカスタマーサクセスマネージャー 紺野 賢 氏

【パネル討論】Adobe Analyticsをフル活用しているブランドが、なぜデジタル体験アナリティクスを導入したのか?

続いて、複数のブランド運営企業からパネリストが登壇し、それぞれの見解を交わすパネル討論の形式のセッションが実施された。

デジタル上の顧客接点であるウェブサイトの分析においては、Google AnalyticsやAdobe Analyticsに代表される、いわゆる 「Webアクセス解析」 が最も広く使われているツールだろう。しかし近年、Webアクセス解析をフル活用しているブランド運営者がContentsquareのようなデジタル顧客体験アナリティクスを導入する動きが活発化している。

 本セッションでは、実際にAdobe Analyticsのユーザーを数多く擁し、利用度の高いブランド運営企業であるカシオ計算機とソニーネットワークコミュニケーションズのパネリストが、Contentsquareを導入した背景から、Webアクセス解析とデジタル体験アナリティクスの使い分けや相乗効果についてそれぞれのストーリーを共有した。

さらに、デジタル体験アナリティクスの導入前・導入後で、CX関連の取り組み成果にどのような変化があったかを語り合った。

複数のブランド運営企業からパネリストが登壇

【事例セッション】手応えのないABテストからの脱却

続いてクレジットカード大手ジェーシービー(JCB)において、CVR改善を専門的に担うコミュニケーション本部 メディアデザイン部の西野 広一 氏が登壇。

年間100本ものABテストを実施しているという同部が、施策において検証に時間がかけられない→ナレッジが貯まらない→質が低下する→本数重視の運用になっていくという“負のスパイラル”をいかにして脱却し、良質なPDCAサイクルを構築していったのかを明かした。

その中で同氏は、チーム内外のコミュニケーションにおいては、主観ではなくデータを根拠にして語ることの重要性や、施策において数を多く実施するだけではなく質が重要であることを指摘。ナレッジを蓄積するために施策ごとに作成している 「検証チェックシート」 も披露された。

ジェーシービー(JCB)  コミュニケーション本部 メディアデザイン部の西野 広一 氏

「Contentsquare Master Awards」 を6️社の6人が受賞

またステージでは、Contentsquareのユーザーアワードも発表。日本のユーザーの中でも、特にContentsquareを使い倒しCX改善に取り組んでいる方を個人として表彰するものだ。直近12カ月間の実利用データに基づいて選出した 「Contentsquare Master Awards」 を5名に贈呈するとともに、新しく活用を開始したユーザーの中でも突出して利用度の高い1名が 「Contentsquare Rookie Award」 として表彰された。

アワード受賞者の集合写真。Contentsquare Master Awardsはカシオ計算機、ジェーシービー、TBCグループ、ソフトバンク、日本ロレアルの5社それぞれのトップユーザーに、Contentsquare Rookie Awardはトヨタホームのユーザーに贈られた。写真向かって左から4人目はアワードのプレゼンターを務めたContentsquare Japanキム・ユジョン(ソリューションエキスパート/カスタマーサクセス)、同5人目はカントリーマネージャーの伊奈 憲一郎。

Emotion-Driven Marketingーー顧客のストレスを見逃さない、感情ドリブン経営

続くセッションには、Contentsquareのソリューションパートナーである電通デジタルの大船 良氏 (同社テクノロジートランスフォーメーション部門 ソリューション&アーキテクチャデザイン事業部マネージャー)が登壇し、「エモーションドリブンなマーケティング」 について語った。

同社には 「顧客の解像度が上がらない」 という相談がよく寄せられているといい、同氏は「CRMという概念がマーケティング領域においても定着した現在、ある程度ツールも基盤も構築して運用しているという各社が、施策の妥当性の評価について同様の壁に当たっている証拠だと感じている」 としており、セグメントデータ/クリック/開封/セッション/CV/収益といった定量的なデータのみで施策の妥当性や顧客を評価することばかりに注力してきた結果に他ならないのではないかと投げかけた。

 そのうえで、「経営対象としてどこまでをスコープとして捉えなければならないのか。また、それを定量的に評価する方法はあるのか」 について解説した。

電通デジタル テクノロジートランスフォーメーション部門 ソリューション&アーキテクチャデザイン事業部マネージャー 大船 良 氏

【パネル討論】CX改善を“全員の仕事“へ!組織横断で浸透させる取り組みをブランド運営者が語る

2つ目のパネル討論は、先のセッションで単独登壇したJCBの西野 広一氏と、ゴルフダイジェスト・オンラインUXD本部 本部長の加藤 裕稔氏の2人をパネリストに迎え、CX改善の取り組みを事業部門の数字と成果に確実につなげる組織の作り方について語り合った。

両氏はCX改善をCoE (Center of Excellence) としてけん引するチームを率いており、そうしたチームの役割・体制・KPIの持ち方、そして事業部門との役割分担や連携についての取り組みを共有した。

JCB 西野 広一氏(左)とゴルフダイジェスト・オンライン UXD本部 本部長の加藤 裕稔氏(右)

三井住友海上の挑戦とTreasure Data CDPを活用した顧客ニーズへの適応

Contentsquareのテクノロジーパートナーであるトレジャーデータがホストを務め、同社のユーザーである三井住友海上火災保険のデータ活用に焦点を当て、顧客データの一元管理について具体的な取り組みを紹介したセッション。

データ活用がビジネスに与える影響や成果、具体的な事例や取り組みを通じてその効果を探求し、 CXやマーケティング戦略を最適化していくアプローチについて、人材や組織の観点も取り入れながら、三井住友海上火災保険 CXマーケティング戦略部 CMO木田 浩理氏がその経験と事例を共有した。

トレジャーデータ副社長 執行役員田井 義輝 氏 (左)と三井住友海上火災保険 CXマーケティング戦略部 CMO木田 浩理 氏 (右)

【クロージング・キーノート】生成AIが変えるデジタルマーケティング

最後のセッションでは、「AIスペシャリスト」 の立場からELYZAのCMOである野口 竜司氏、「画像生成AIモデル提供者」 の立場からStability AIのHead of APAC Sales & Partnershipsである滝澤 琢人氏が登壇。

CMO XのFounderでありキンドリルジャパンのVice President, CMOを務める加藤 希尊氏をモデレーターに、先進企業での取り組み事例 、今後のデジタルマーケティングの生成AI活用可能性とマーケターの業務がどう変わっていくのかについて見識を交わした。

生成AIが変えるデジタルマーケティングーーAIスペシャリスト x 画像生成AIモデル提供者が対談

ネットワーキングも開催

カンファレンス終了後は、ネットワーキングが行われた。業界や職種、企業の枠を超えて、デジタル顧客体験にかかわる仲間とネットワーキングできるCX Circleの大きな魅力のひとつだ。

会場をTOKYO NODE CAFEに移して始まったパーティーでも、カンファレンスから引き続き 「Level Up your CX game」 のテーマを踏襲。参加者一人ひとりにロールプレイングゲームのような 「職業」 が割り当てられており、「職業」 ごとに参加者は1つのテーブルに集められた。そこを起点にネットワーキングを開始することで、思いがけない新しい出会いが生まれたり、活発な情報交換が進んだりするという仕掛けで、参加者からも好評を博していた。

ネットワーキング会場で挨拶するカントリーマネージャーの伊奈 憲一郎

Contentsquareによると、本イベント 「CX Circle」 は来年度も引き続き開催する予定とのこと。来年度のテーマはどんなものになっているのだろうか?CXの取り組みの拡がりや新たな事例の登場などと併せ、今から楽しみなイベントだ。

尚、Contentsquareでは、CX Circle以外にも、さまざまなイベントやコンテンツを通じて、デジタル顧客体験の向上に取り組むリーダーや実践者、コミュニティへの情報提供も行っていくという。


CX Circle Tokyo 2024 オンデマンド配信

Contentsquare