冬の日光で体験する静けさと温もりの時間
冬の日光は、雪に包まれた温泉地や渓谷、湖、そしてウィンターアクティビティが楽しめるフィールドが広がり、静けさと賑わいの両方を体験できる季節である。なかでも湯西川温泉では、雪原に灯るかまくらや竹灯籠、歴史ある集落の冬景色、囲炉裏料理など、この時期ならではの風景と文化を味わえる。
毎年開催される 「湯西川温泉かまくら祭」 は、日本夜景遺産にも認定された冬の風物詩である。沢口河川敷には無数のミニかまくらが並び、一つずつ灯されたろうそくの火が暗がりの中に浮かび上がる。真っ白な雪と炎の淡い光だけが広がる空間は、訪れる人を包み込むような穏やかな雰囲気をつくり出している。もう一つの会場である平家の里では、雪化粧をした茅葺屋根の古民家に灯りがともり、かまくらとともにレトロな冬景色を生み出す。写真映えすると話題のスポットとしても知られ、茅葺屋根と雪と光が織り成す情景はこの季節ならではである。
かまくら祭に先立って開催されるライトアップイベント 「平家あかり」 では、竹灯籠や竹毬の灯りが湯西川河川沿いや平家の里を照らし、幻想的な夜を演出する。今年は湯西川河川会場が新たに加わり、点灯期間も拡大された。竹の温かな光が古い集落の中に映える様子は、冬の湯西川温泉を象徴する景観の一つである。
また湯西川温泉での楽しみとして欠かせないのが、古くから伝わる囲炉裏料理である。炭火の前で山の幸や川魚を焼き上げ、静けさの中で味わう時間は、火を囲む行為そのものが癒やしとなる。旅館によってスタイルは異なり、ビュッフェ形式で気軽に楽しめる宿、囲炉裏付きの卓でじっくり味わえる宿、猟師が営む宿、温泉を堪能できる宿など、多様な選択肢がある。
この湯西川エリアへ向かう移動そのものも旅情を高める。白銀の山あいを走る野岩鉄道は、雪景色の中をダム湖や渓谷沿いに進み、車窓から冬の景観を眺めながらゆったりと移動できるローカル線である。湯西川温泉駅には道の駅が併設され、飲食や物産販売、日帰り温泉など旅の途中に休む場所としても便利だ。周辺には湯西川ダムや赤夕大橋など、短時間の散策で楽しめる景観も点在する。
同じく冬の景色を楽しめる龍王峡では、鬼怒川の渓谷美が雪に包まれ、音が吸い込まれるような静けさが広がる。虹見橋から眺める白銀の渓谷は冬ならではの光景で、散策後は駅前の飲食店で温かい食事をとることができる。
アクティビティも日光の冬の魅力の一つである。奥日光では、雪原を歩くスノーシューやクロスカントリースキーが体験でき、初心者向けのレッスンやレンタル設備も整う。気軽に挑戦しやすいエアボードや、屋内・屋外のスケートリンク、規模や特徴の異なるスキー場など、幅広い楽しみ方がある。日中に思い切り身体を動かした後は、鬼怒川温泉や川治温泉など、市内の温泉で温まり、湯上がりに街歩きや食べ歩きを楽しむこともできる。
冬の夜を彩るイベントとして、鬼怒川・川治温泉ではゆず湯風呂 「柚子ほの香」 や、川治温泉仕掛け花火 「流彩花」 が実施される。ゆず湯の爽やかな香りは乾燥しがちな冬の肌にもやさしく、冬至に合わせた季節の風物詩として親しまれている。澄んだ空気の中で打ち上がる冬の花火は、観賞時間は短いものの、雪面に反射する光が印象的で、温泉街の夜に特別な彩りを添える。
アクセス面では、東武鉄道の特急 「スペーシアX」 や 「リバティ」、SL大樹などを利用すれば、移動の時間も旅の楽しみとなる。車窓から眺める雪景色と山並みは、日光の冬らしさを存分に感じさせてくれる。
雪灯りの景観、囲炉裏料理、ローカル線の車窓、冬ならではのアクティビティと温泉。冬の日光には、静かな癒やしと遊び心の両方がそろっている。年末に向けて慌ただしくなる時期だからこそ、自分をいたわる時間として、冬だけの景色が広がる日光を訪れてみてはいかがだろうか。
湯西川温泉かまくら祭
会場:沢口河川敷ミニかまくら会場、平家の里
期間:2026年1月30日(金)〜3月1日(日)
点灯時間:17:30〜21:00
アクセス:野岩鉄道会津鬼怒川線「湯西川温泉駅」よりバス約25分、車は今市ICより約60分
平家あかり
会場:湯西川河川会場/平家の里
期間:11月28日(金)〜12月21日(日) ※平家の里は金・土・日のみ
点灯時間:17:00〜21:00
鬼怒川・川治温泉 冬イベントゆず
湯風呂「 柚子ほの香 」:12月20日(土)・21日(日)
川治温泉仕掛け花火「 流彩花 」:12月6日(土)〜27日(土)の毎週土曜 20:00〜
日光旅ナビ (日光市公式観光WEB)
https://www.nikko-kankou.org/