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LIFE STYLE | 2024/10/06

酸化ストレスから細胞を守るため抗酸化酵素「Nrf2」を活性化させる「カシスアントシアニン」の作用

連載:カシスの力(ちから)Vol.1 

一般社団法人日本カシス協会

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強力な抗酸化能と血流改善作用をもつ 「カシス」

日本人にはあまりなじみのない「カシス」ですが、実は「カシス」が太陽の紫外線から身を守るため作り出す 「カシスアントシアニン」 という抗酸化物質には、強力な抗酸化能とともに血流改善作用がみとめられているほか、さまざまな効能があると言われています。

一般社団法人日本カシス協会は、そんな 「カシス」 の効能を広めるために、産学官の協働で設立された協会で、より多くの人々に 「カシス」 を生活に取りいれ、健康とキレイの両方を手に入れられるよう、カシス産業、カシス文化の確立を目指して活動している団体です。本連載では、その協会の役員を務めるいわゆる 「カシスマスター」 の先生たちが毎回登場、 「カシス」 の機能性や可能性について紹介していきます。

そして、第2弾となる今回は、日本カシス協会会長でY’sサイエンスクリニック広尾/SAWAKO CLINICxYSの統括院長 日比野佐和子先生に、カシスアントシアニンとアンチエイジングの関係、またアンチエイジングにおいて重要な “酸化ストレスから細胞を守る抗酸化酵素 「Nrf2」” についてのお話しをお届けします。

日比野 佐和子

一般社団法人日本カシス協会 会長 医療法人社団Y’sサイエンスクリニック広尾/SAWAKO CLINICxYS統括院長 医学博士

大阪大学医学部大学院医学系研究科卒業・博士課程修了。現、大阪大学医学部大学院特任准教授。専門分野は欧米のアンチエイジング医学に加え、中医学、ホルモン療法、プラセンタ療法、植物療法(フィトテラピー)、アフェレーシス療法など多岐にわたる。その真摯なカウンセリングと診療で、多くの患者から信頼されると共に、研究分野においても国際的に活躍している。

「Nrf2」 をご存じですか? −老化と酸化ストレスの関係

一般社団法人日本カシス協会会長の日比野佐和子です。Y’sサイエンスクリニック広尾/SAWAKO CLINICxYSの統括院長として、アンチエイジング分野の医療に携わっています。

さて早速ですが、皆さんは “なぜ人は老化する” と思われますか?

そのメカニズムは色々とありますが、ここでは老化と酸化ストレスの関係について説明したいと思います。人間の体は酸素を使って栄養素を燃やすことでエネルギーを生み出していますが、その過程で少量の活性酸素が生成されます。活性酸素はフリーラジカルとも呼ばれる不安定な分子で、細胞やDNAにダメージを与える原因となります。これが酸化ストレスです。酸化ストレスが蓄積すると老化や様々な慢性疾患、さらには癌の原因にもなり得ることが知られています。

ここで重要な役目を担うのが体内に備わっている抗酸化防御機構です。人間の体には、酸化ストレスから細胞を守るため抗酸化酵素が存在します。その抗酸化酵素の生成や活性を調整しているのが 「Nrf2」 という転写因子です。

「Nrf2」 は細胞の核に存在し、酸化ストレスを感知すると細胞内での抗酸化酵素の生産を促進します。具体的には 「Nrf2」 が活性化されると細胞内の抗酸化酵素 (例えばスーパーオキシドディスムタラーゼやカタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼなど) が増加します。これにより、活性酸素が中和され、細胞がダメージを受けにくくなります。また、「Nrf2」 の活性により脂質酸化の抑制とマロンジアルデヒド(MAD)の生成抑制が行われることが分かっています。MADは細胞損傷の原因となるため、その抑制は細胞の健康維持に重要な役割を果たします。

カシスアントシアニンと 「Nrf2」

それでは次に 「Nrf2」 を活性化するには、どうすればいいのでしょうか。ここで近年注目されているのが、カシスに含まれる 「カシスアントシアニン」 です。カシスは非常に高い抗酸化作用を持つことで知られている果物ですが、このカシスにふくまれるアントシアニンは、シアニジン3ルチノシドとデルフィニジン3ルチノシドという成分が豊富で、強力な抗酸化作用を持っています。

ニュージーランドの国立植物食品研究所で行われた研究では、カシスに他の果物ではみられないほどの強力な活性酸素除去能力を持っていることが示されています。ここで重要なのは、カシスアントシアニンが 「Nrf2」 を活性化する作用を持っていることです。「Nrf2」 が活性化されると、抗酸化酵素の生産が促進されます。これにより細胞が効果的に酸化ストレスから保護されるのです。

さまざまな効果が期待される 「Nrf2」 のさらなる機能

さまざまな効果が期待される 「Nrf2」 ですが、炎症を抑制する作用も持っています。例えば皮膚。皮膚は紫外線や環境汚染物質などによって酸化ストレスを引き起こすとされています。皮膚が酸化ストレスを受けると炎症反応を引き起こし、長引くと慢性的な炎症となり、皮膚の老化やその他の疾患を引き起こすことがあります。そこでカシスアントシアニンが 「Nrf2」 を活性化することで皮膚の炎症を抑え、赤みや腫れを軽減する可能性が期待できるとともにカシスアントシアニンの抹消血流改善作用との相乗効果で、シミやシワ、たるみなどの皮膚の老化現象を防ぐことに役立ちます。

また、「Nrf2」 はコラーゲンの生成にも関与していることが研究により示唆されています。コラーゲンは、皮膚の弾力性やハリを保つために必要なタンパク質ですが、年齢とともにコラーゲンの生成が減少し、シワやたるみが目立ってきます。ここにもカシスアントシアニンが 「Nrf2」 を活性化することで、皮膚の若々しさを維持できることが期待されます。

さらに、カシスアントシアニンには脂質酸化を抑制する機能もあります。脂質酸化とは、細胞膜を構成する脂質が酸化される過程のことで、これが進行すると細胞にダメージを与える原因となります。細胞膜がダメージを受けると細胞の機能が低下、最終的には細胞は死んでしまいます。カシスアントシアニンが 「Nrf2」 を活性化することで脂質酸化を抑制し細胞膜の健康を守ることができます。

次に糖化ストレスについてもお話しおきましょう。過剰な糖分が、アルコールや脂肪分を通して生成する 「アルデヒド」 は、タンパク質と結合し老化を促進する終末糖化産物(AGE)を生成します。AGEは、ヘモグロビンだけでなく、ケラチンやコラーゲンといったタンパク質を劣化させ、肌のたるみやシワ、くすみを引き起こします。カシスアントシアニンによる 「Nrf2」 活性化は、AGEの生成を抑制し、老化を遅らせる効果が期待できます。

このように 「Nrf2」 は、カシスアントシアニンによって活性化されることで抗酸化酵素の生成を促進し、酸化ストレスからだけでなく、脂質酸化や糖化ストレスからも細胞を守り老化現象の抑制に効果を発揮します。

以上のように、カシスに含まれるカシスアントシアニンには、酸化ストレスから細胞を守るための抗酸化酵素 「Nrf2」 を活性化する作用があり、アンチエイジングにおいて大きな効果をもたらすのです。皆さんもどうか日々の生活において、カシスを取り入れることを習慣化し、若々しく生き生きとした毎日をすごしてみてはいかがでしょうか。

次回の 「カシスの力(ちから)」 では、日比野先生に「骨粗鬆症とカシス」ついてお話頂く予定です。お楽しみに。