LIFE STYLE | 2022/02/02

北京五輪を目前に控えた中国「本気のゼロコロナ政策」を注視すべき5つの理由【連載】中国ウォッチ・ナウ!(4)

香港大学深セン病院にて新型コロナワクチン(シノファーム)を接種する深セン市在住の日本人インフルエンサー、東野万美さん
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理由3:部分ロックダウンも容赦ない

2022年1月6日、深セン市竜崗区布吉にて陽性者が発生。すぐさま周辺住民に対して一斉PCR検査が実施された

中国では、各地域が新型コロナ感染のレベルによって高・中・低リスクに分類される。大まかであるが、以下のような基準となる。

低リスク地域:新規感染者数が2週間連続してゼロの地域
中リスク地域:感染者が発生しており、今後も感染拡大の可能性がある地域
高リスク地域:過去2週間の累計感染者数が50人以上の地域

この基準は地域によっても若干異なり、新規感染者が発生したからといってすぐに中リスクに変わるわけでもないが、中・高リスク地域に指定されると途端に周辺住民は自由に動けなくなる。

低リスク地域では行動制限がなく経済活動も普通に行われるが、中リスク地域に指定されると他地域への移動の際はPCR検査陰性証明の提示が求められ、外出制限も課される。高リスク地域に指定されると部分ロックダウンも行われ、エリア外に出ることも難しくなる。

これらの指定変更の動きは本当に早い。例えば1月31日に深セン市内で1例の陽性反応が出た数時間後には対象エリアを中リスク指定。翌日は深センから他都市へ向かうフェリーが運航停止に。2月1日より行われるはずだった各地の春節イベントも即中止の嵐。多くの参拝者が見込まれる有名寺院も例外ではない。

また、国際郵便からの感染が疑われると市内に届けられる毎日3万5000通の郵便物を完全消毒し、なおかつ(ウイルスが死滅するように)48時間の留め置きを実施。中国は武漢における初動対応の失敗から多くを学んだため、今ではありとあらゆる手を使いスピード勝負で物事を進めていることがよくわかる。

理由4:ITを本気でフル活用

さまざまなオペレーションにおいてITなど最新技術を惜しげもなくフル活用している様子も目を見張るものがある。

とにかく時間との勝負となるPCR検査においては、検体を一刻も早く解析センターに運ぶためにドローンを活用。交通渋滞に左右されずにルートをショートカットして最短時間で届け、検体を検査・集計できるようになっている。

また、北京五輪の関係者が利用する施設では全自動ロボットが大活躍。ロボットによる調理・配膳など、可能な限り非接触でのサービスが行われている。

コロナ禍における中国在住者にとって必須アイテムともなった「健康QRコード」と「行程カード」という2つのアプリも注目だ。

左が健康コード(広東省)、右が行程カード

「健康QRコード」は、PCR検査の実施日時や結果、新型コロナワクチンの接種履歴等の情報を管理している。「行程カード」は、携帯キャリアと連動した位置情報により過去2週間以内に4時間以上滞在した場所が表示される。

これらのアプリはほとんどの中国国民が利用しているチャットアプリWeChat(微信)内に存在するミニプログラムで、アップデートを重ねた今は使い勝手も非常に良い。さまざまな施設でこのアプリを提示することでスムーズな管理が行われている。

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