「みんな軽トラを抱きしめたくなってしまうようだ」
軽トラに魅了されたA氏は、大きめのトラックも購入するように…。「実は、ダンプトラックや消防車もほしい」とA氏は収集家らしい告白をした
まずアメリカだと「製造から25年経ったトラック」というとすぐに壊れそうなポンコツのイメージがある(実際そうである)。だが、軽トラ所有者は「日本の軽トラは中古とは思えないほどコンディションがよくて修理もしやすい。長持ちする」と太鼓判を押す。
購入してからは燃費と保険の加入費で節約することができる。いくつかのサイトが計算をしているが、アメリカのピックアップトラックと比較すると燃料費だけでも3年で軽トラ1台分の価格に匹敵する節約ができるらしい。
A氏によると「森の曲がりくねった狭い道を走ることができる小さなトラックはアメリカにはない」、「そういう場所で軽トラを運転するのは本当に楽しい」ということだ。
アメリカのごついトラックに比べて「かわいい」というのも無視できない魅力だ。
A氏が住む州では公道での運転は認められていないが、近所の商店にはよく出かけているようだ。それでもこれまで警察から咎められたことはない。むしろ、どこに行っても人々が集まってくる。「みんな軽トラを抱きしめたくなってしまうようだ」とA氏はその感覚を表現する。そして、「ほしい。どこで買えるのだ?」と質問責めにあう。A氏が自分で使用できる以上の軽トラを輸入してきたのは、「ほしい」とリクエストする友人がいるからだ。小さいのに働き者の軽トラにはアメリカ人の心をくすぐる何か特別なものがあるようだ。
新型コロナウイルス感染症のために世界中で流通が滞っており、輸出入が困難になっている。そのために軽トラも「欲しくても手に入らない」という状況になっていて、コレクターの収集欲をさらにかきたてているようなところもある。
日本では特別扱いされずに働かされてきた軽トラは、渡米してからは「抱きしめたい」ともてはやされ、ファンから可愛がられて大切にされる「老後」を送っているようだ。
A氏の話を聞いているうちに私も軽トラが欲しくなってしまった。自由に走らせる森や農場を所有していないのが残念でならない。