理不尽で不可思議な意味不明事件の顛末
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U被告人「ここまでの経緯を説明しました」
検察官「出頭するよう言われませんでした?」
U被告人「言われました」
検察官「でも無視して逃亡したと?」
U被告人「はい…」
奥さんは警察に行くように告げてたようです。どんどん心の距離が離れていきそうな…。
検察官「あと、傷害の件ですけど、何か付け加えることはないですか?」
U被告人「ありません」
検察官「前回と一緒?」
U被告人「はい」
あまりに理不尽で不可思議な事件なので改めて確認したのでしょう。新証言が飛び出すこともなくモヤモヤしたまま、被告人質問終了。
この後、検察官の論告です。服役を恐れて逃走し、友人になりすまして口座を作った事案で、刑事責任を正面から受け止めておらず猛省が必要と述べた後に、
検察官「前回の求刑は撤回し、懲役4年6月を求刑します」
と、前言撤回という異例の求刑です。
弁護人としては傷害の被害者に被害弁償を申し出ているし、反省してるので出来るだけ寛大な処分をお願いと弁論していました。
こうして、前回から4カ月以上も間が空いた第3回公判が終わりました。
そして10月13日。判決が言い渡されました。結果は、懲役3年6月未決勾留日数70日算入。なので約3年4カ月刑務所に行って下さいという実刑判決です。政府の新型コロナウイルスの対策に不満を抱いて、それを世間に訴える為に被害者宅に深夜忍び込んでマイナンバーカードを撮影してケガを負わせるって意味不明過ぎるんだよなぁ。裁判官も「不条理な動機で本当だとしても被害者を襲う理由にはならない」って判決理由で述べてたけど、そりゃそうだ。結局全く分からないまま裁判終わりですよ。
全国的には例があるのかも知れないけど、少なくとも東京地裁では初のマイナンバー法違反の裁判はこうして判決を言い渡されたのでした。せっかくの珍しい罪名の裁判が、よく分からない内容の事件というね。変な判例が残ってしまったなぁと。
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