CULTURE | 2021/10/20

「新型コロナ経済政策への不満アピール」のため無関係の人物宅に侵入し暴行する意味不明事件、謎が謎を呼ぶ結末【連載】阿曽山大噴火のクレイジー裁判傍聴(30)

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阿曽山大噴火
芸人/裁判ウォッチャー
月曜日...

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被告は裁判から逃げて何をしていたのか

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そして、被告人質問。前回までの3人の弁護人が解任されているので、新たな弁護人に変わっていて、その弁護人からの質問です。

弁護人「5月19日、東京地裁に出頭してませんよね?」
U被告人「娘に会って謝罪したかったのと、妻と娘に収入を渡したくて…」

4月28日の最終冒頭陳述で「家族にも謝りたいです」と言っていただけあって、ものすごい家族想いのようです。

弁護人「その時の弁護人には伝えていました?」
U被告人「いいえ、伝えてません」
弁護人「奥さんには?」
U被告人「伝えられてません」
弁護人「奥さんには会った?」
U被告人「いえ、会えてません」
弁護人「連絡は取れてたんですか?」
U被告人「(今回の?)弁護士を通して連絡取れました」
弁護人「今は会わない方がいいと」
弁護人「事件が終わってからと?」
U被告人「はい」

家族と会うために逃亡したけど、会えなかっただけじゃなくて、会う機会はさらに遠のいてしまったようです。

弁護人「銀行口座を作った後、入金がありますが、これは何ですか?」
U被告人「持っていたお金です」
弁護人「いくらですか?」
U被告人「200~300万円だったと思います」

これってどういうことなんですかね。従来の口座に300万円入ってて、逃走中に出入金してるとATMの防犯カメラとかで足がつくから、新たに開設した口座に移したって意味なんでしょうか。

弁護人「奥さんにはその口座で送金した?」
U被告人「いいえ。現金書留で100万円を送りました」
弁護人「いつまで逃げようと思ってましたか?」
U被告人「出来る限りと思っていました」
弁護人「実際には7月に捕まったわけですが、面会には誰が来てくれました?」
U被告人「前回の弁護人が一度。あと、父親が来てくれました」
弁護人「4月の保釈金っていくらですか?」
U被告人「200万円です」
弁護人「誰のお金ですか?」
U被告人「父が用意してくれました」
弁護人「その保釈金はどうなってますか?」
U被告人「没収されてます…」

保釈金って、有罪でも無罪でも判決後に返金されるんです。戻ってくるからお父さんも出してくれたと思うんですけどね。逃亡のせいで200万円はボッシュート。

続いて、検察官からの質問です。

検察官「お父さんにも送金してますよね。いくらですか」
U被告人「200万円です」
検察官「何故ですか?」
U被告人「没収された保釈金という意味で」
検察官「お父さんと奥さん以外にお金は送りましたか?」
U被告人「いいえ」
検察官「じゃあ、お父さんへの200万円と奥さんへの100万円。これはなんのお金?」
U被告人「娘の学費保険を解約して…」

そういうお金なの? てっきりフィットネスジムの経営で稼いで貯めたお金なのかと。勝手に解約して奥さんにも生活費みたいに送るってどういう感覚なんですかね。

検察官「逃亡といっても、東京都内にとどまったのはなぜですか?」
U被告人「特に考えてませんでした」
検察官「ふ~ん…。街でばったり、奥さんと出会ってますよね。その時、奥さんとはどんな話をしたんですか?」

なんと、逃亡中に偶然奥さんと再会していたようです。弁護人の質問では会ってないって言ったのに。ドラマチックな運命の出会いなのか、奥さんの生活圏をU被告人がウロチョロしてただけなのかわかりませんが、街中で顔を合わせる夫婦。一体、どんな会話があったのか?

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