文:ヤジマミユキ
新型コロナウイルス感染拡大によって、ヨーロッパの多くの都市がロックダウンの措置を取った。
国境を超える移動が制限される中、10歳の少年の達成した偉業が話題になっている。
最愛の祖母にただ会いたい
イタリア・シチリア島の都市パレルモに住むロメオ君(10歳)は大のおばあちゃんっ子。ロメオ君の家族は、昨年イギリスのロンドンからイタリアのパレルモに引っ越しており、祖母のローズマリーさん(77歳)と離れ離れに。今年に入りロックダウンが始まったため、約1年半もの間、会えていなかった。
しかし、ロメオ君は「最愛の祖母とハグをしたい」と会いにいくことを決意。2800キロもの道のりを歩いて向かうことにした。『DailyMail』によると、両親は説得したがロメオ君の意志は固かったという。父親のフィルさん(46歳)とともに祖母のもとに行く過酷な旅に挑戦することになった。
ロメオ君は、6月20日に出発。毎朝4時30分に起床し、徒歩で進路を進め、1日に約20km歩き続けることもあった。時に自転車やボートを使うことも。道に迷ったり、野犬に襲われそうになったり、さまざまな困難を乗り越えながら、イタリア、スイス、フランスを横断。祖母の待つ故郷ロンドンに向かった。
ロメオ君が旅に出た理由
ロメオ君にとって、この旅は単に祖母に会いに行くためだけのものではなかった。ロメオ君は自分が旅をすることで、難民が直面している問題を世の中に知ってもらいたいと思っていた。
パレルモに引っ越してきた当時、ロメオ君はイタリア語が一切話せずにとても疎外感を感じていた。そんなロメオ君を助け、受け入れてくれたのが難民の友人たちだったのだ。ロメオ君は、旅の支援とともに母親のジョバンナさんが運営する難民のための慈善団体への寄付を呼び掛けた。その思いに多くの人が賛同し、寄付サイト『JUSTGIVING』には1万8700ポンド(約255万円)以上が集まっている。
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