2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催を契機に、テクノロジーの進化により著しく変化しているスポーツを取り巻く環境について、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の神武直彦教授に、スポーツICTの最新動向を紹介いただいている【連載】Road to 2020 スポーツ×テックがもたらす未来。
今回は、同じく慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科特任助教で、慶應義塾大学ラグビー部で主将、監督を経て2018年より同ゼネラルマネージャーを務める和田康二氏に、現在、慶應義塾大学ラグビー部や小学生スポーツ教室「慶應キッズパフォーマンスアカデミー(慶應KPA)」において実践している取り組みを、「ニューノーマル時代のオンラインスポーツコーチング」と題し紹介していただく。
和田康二
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科 特任助教
慶應義塾大学総合政策学部卒業後、ゴールドマンサックス証券株式会社入社。証券部門・金融法人担当セールスに従事。2013年から2年間、慶應義塾大学ラグビー部監督。2018年より同ゼネラルマネージャー(GM)。2020年慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(SDM研究科)特任助教。一般社団法人慶應ラグビー倶楽部(KRC)理事。慶應義塾一貫教育校ラグビーの連携・強化や大学スポーツを通じた産官学連携を推進している。SDM研究科とKRCの連携事業として2018年に開校した「慶應キッズパフォーマンスアカデミー」の運営責任者。株式会社イティサス代表取締役。
オンラインツールの急速な普及
新型コロナウイルス感染症の影響により、企業のテレワークや学校の遠隔授業などオンライン化が急速に普及しました。スポーツの世界も例外ではなく、オンラインミーティングやオンライントレーニングなど、デジタルツールの活用が進んでいます。私がGMを務める慶應義塾大学ラグビー部も、自粛開始後いち早くデジタルツールを取り入れ、チームコミュニケーション・戦術戦略のディスカッション・選手の体力維持・向上、更には他大学との交流などに役立てています。
慶應義塾体育会蹴球部公式Twitter
また私は、慶應義塾大学ラグビーグラウンドを拠点とした小学生スポーツ教室「慶應キッズパフォーマンスアカデミー(慶應KPA)」の運営責任者も務めています。マルチスポーツコースとラグビーコース合わせて100名程度の会員が所属していますが、子どもたちの健康と安全を第一に考え、グラウンドでの活動を今年の3月から休止しています。しばらくは大学施設の使用制限が続く中、慶應KPAのコーチ・スタッフはこの機会に子どもたちを対象としたオンライン運動プログラムを研究・開発し、対面コーチングとは異なる特性を持つオンラインコーチングについての知見を蓄積していこうと前向きに考え取り組んでいます。
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