EVENT | 2020/10/23

在宅勤務やワーケーションはもはや「福利厚生」ではなく「採用戦略」!?「新しい住み方と働き方」を徹底討論!「BIGLOBE Styleイノベーションミーティング:オンライン」vol.1 イベントレポート

写真左から池田佳乃子さん、三原勇希さん、馬場正尊さん、桑原晴代さん
文・写真:神保勇揮
ビッグローブ株式会社は、同社...

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「観光地で働くこと」が突飛でなくなる未来はすぐそこに

タレント・ラジオDJとして活躍する三原勇希さん

「ワーケーションは地方を活性化するか」というテーマでは、20代から50代までの学生を含む1500人に「ワーケーションをしてみたいと思うか」と聞いたところ、そう思う(23.7%)、ややそう思う(37.1%)の合計は約60%にも上った。

「ワーケーション」をしてみたいと思うか?

池田さんは去年、別府の鉄輪(かんなわ)温泉でコワーキングスペース『a side -満寿屋-』を立ち上げている。当初はワーケーション文脈というよりは「温泉街にワークスペースがあれば、湯治をする人が増えるのではないか」というコンセプトだったという。

別府市鉄輪地区にある築約80年の旧貸間だった空き家の一部を、コワーキングスペースにコンバージョンしたa side-満寿屋-。利用者は向かいにあるすじ湯温泉に無料で入れる

「ワーケーションはワークを重視するか、バケーションを重視するかでおすすめの環境が異なります。ワーク重視型の人は温泉宿など、仕事が快適にできる環境を確保することを前提とした方が良いです。非日常を感じるとクリエイティブな発想が出てきますし、在宅勤務だけだとなかなかアイデアが出なくて悩んだ人も、適宜ワーケーションを取り入れればそれが解決できるのではないでしょうか」(池田さん)

「『海や山があって楽しい』という理由だけでは会社の決済が落ちないはず。別府には大学生が8000人ぐらいいて、3000人ほどの留学生もいます。例えばインバウンド、アウトバウンドの事業をする会社は留学生の声を聞きたいニーズがあるため、現地にオフィスを構えインターンを雇い、かつワーケーション的な働き方を実現するという考え方もできるのではいでしょうか」(池田さん)

a sideでは個人でも会社などのチーム単位でも受け入れており、去年9月にTOTO、博報堂、凸版印刷などの社員8名が3泊4日で泊まったところ、新しいビジネスのタネが生まれたり、ストレスで生じていた身体の傷みが緩和したりといった効果があったそうだ。

池田さんの話を受け、桑原さんもBIGLOBEで実施したワーケーションのエピソードを紹介した。

「弊社のエンジニアが去年9月に広島の尾道にある、ONOMICHI SHAREという海の見えるスペースで3泊4日のワーケーションに参加し、BIGLOBE Styleで記事を公開しています。本人に話を聞くと、やはり働く場所の選択肢が増えるということがすごく良かったとのことで、会社としても可能性を探っていきたいです」(桑原さん)

ワーケーションはここ数年で大きく注目されるようになった新しい取り組みであるが、これからそうした施設がもっと増える可能性もある。それが馬場さんのオープン・エーが進めるプロジェクト「公共R不動産」である。

公共R不動産は、全国の使われなくなった学校や公園といった公共施設を掲載し、それを借りて活用したいという民間企業を募集する不動産仲介サービスだ。近年では、公共空間の利用プランを持つ個人・民間事業者が行政担当者に直接プレゼンをする「公共空間逆プロポーザル」も開催している。

こうして再生された物件の1つに、静岡県沼津市にある「泊まれる公園 INN THE PARK」がある。宿泊棟の他にも森にひっそり浮かぶ「球体テント」などもあり、こうした非日常空間をワーケーションスポットとしても使うことは十分考えられるだろう。

「泊まれる公園 INN THE PARK」のサイトより

「最近、誰でも知っているような大会社から『在宅勤務が前提になると都心の大きなオフィスは必要なくなるので、自然豊かなところへの本社移転を検討しています。良い廃校はないでしょうか?』という相談が立て続けに数件ありました。これはただ事じゃないなと。パソナが淡路島への本社移転をするニュースが先日大きな話題になりましたが、今後は逆に都心にサテライトオフィスを置くという位置づけも増えてくるかもしれません」(馬場さん)

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