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文:滝水瞳
救助犬や補助犬など、日々さまざまな局面で人間の大きな支えとなってくれている犬。
そんな彼らが今、世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルスに対しても重要な役割を担ってくれるかもしれない。
コロナ感染で、人間の体内の代謝プロセスが完全に変化
ドイツのハノーバー獣医科大学が率いる研究チームが先月23日、「犬が約94%の精度で新型コロナウイルスの感染者を検知できる」とする研究結果を学術専門サイト『BMC Infectious Diseases』に報告した。
犬は人間の約1万倍の能力で正確に匂いを見極められると言われている。この能力を生かし医療現場での検査と併用することで、より的確かつ迅速な検査結果が得られると期待が寄せられている。
実験では、ドイツ連邦国防総省の探知犬8匹を対象に1週間の訓練を行い、新型コロナウイルスの入院患者と既往歴のない陰性の人々からそれぞれ摘出された唾液や気管気管支分泌物のサンプル1000点以上が使われた。
訓練装置にはサンプルの香りの出る7つの穴があり、自動的に1つが陽性、残りの6つが陰性となるよう仕掛けられた。香りは別の容器からつながれたチューブで流れてくるため、犬がサンプルに直接触れることがない。犬が陽性の穴を見つけた場合、2秒以上鼻を入れて示すよう指導。正解であれば音が鳴り、ご褒美の食べ物かボールが装置から出てくる仕組みだ。
上記ビデオの訓練の様子では、陽性の穴が緑色で示されている。
この研究に携わったハノーバー獣医科大学の生化学教授であるブリックウェーデ氏によれば、新型コロナウイルスに感染すると、人間の体内の代謝プロセスが完全に変化するため、犬がこの変化を嗅ぎ分けられるという。