文:江守順二
白人警察官による黒人男性への暴行死事件を受け、アメリカでは警察官と市民の衝突が続いている。
しかし、そのほんの数カ月ほど前には警察官と市民の心温まる交流がSNS上で話題になったことを覚えているだろうか?
警察官と芝生の上でランチをするホームレス女性
ノースカロライナ州ゴールズボロ市で警察官勤務9年目になるマイケル・リバーズ巡査(29歳)は、市内のホームレスの顔をほとんど知っていた。しかしある日、パトカーで巡回していると、公園の芝生に見かけたことのないホームレス女性がいるのを目にした。彼女のTシャツには大きな文字で「ホームレス―Nobodyになるための一番の近道」と書かれていた。「Nobody」とは、無名の人、誰からも関心を向けられない人という意味だ。
パトカーを停め、その女性に声をかけたリバーズ巡査。笑顔を交わし通り過ぎたが、リバーズ巡査は公園に戻り、「今日は何か食べたかい?」と尋ねた。「いいえ」という女性の返事を聞いたリバーズ巡査は、近くのピザ屋で2人分のピザと飲み物を買ってきて、一緒に芝生の上でランチを楽しんだ。
45分間ほどのランチタイムで、2人はお互いの身の上話に花を咲かせた。彼女の名前はミシェルで夫もホームレスであること、肝臓病と戦っている12歳の娘を里親に預けていること、23歳の息子もいることなどを話したという。
この仲睦まじい光景を微笑ましく感じたある通行人が写真を撮り、その夫のクリス・バーンズさんが3月12日にFacebookに投稿。「警察はわれわれのコミュニティのためにとてもたくさんのことをしてくれるが、その多くは誰にも気づかれない」とコメントした。
この投稿は3900件の「いいね」、5000件のシェアを記録し、大きな反響を呼んだ。