Photo by Shutterstock
過去の連載はこちら
阿曽山大噴火
芸人/裁判ウォッチャー
月曜日から金曜日の9時~5時で、裁判所に定期券で通う、裁判傍聴のプロ。裁判ウォッチャーとして、テレビ、ラジオのレギュラーや、雑誌、ウェブサイトでの連載を持つ。パチスロもすでにプロの域に達している。また、ファッションにも独自のポリシーを持ち、“男のスカート”にこだわっている。
トイレの中から出てきた客室乗務員を待ち伏せ
裁判所も夏休み。と言っても、裁判所自体を休ませるわけにはいかないようで、各部署が少しずつずらして休みを取っています。なので、1カ月位裁判の数が極端に減ります。
一方、傍聴する人は増えます。親子連れやら学生のグループやら。未だに裁判傍聴のレポートを宿題として出している先生がいるようで、現状をわかっているのかどうか。裁判の傍聴は自由だけど強制するものじゃないでしょ。傍聴したい人が個人で来れば1件も傍聴できずに帰るという日が無くなるんじゃないかなと思っています。寝る人もいるし団体傍聴は本当に無意味。
さて本題です。
罪名 強制わいせつ
X被告人 介護職の男性(37)
起訴されたのは、今年4月8日に羽田空港から福岡空港に向かうJALの航空機内で、被害女性(26)のお尻をX被告人が右手で揺さぶって揉んだという内容。飛行機の中が犯行現場という裁判は非常に珍しいですね。こういうケースは東京地裁で行われるようです。
検察官の冒頭陳述によると、X被告人は大学卒業後、看板会社や空港保安員など職を転々として、犯行当時は介護の仕事をしていたそうです。 犯罪歴は、前科はないけど、前歴が3件。この前歴については被告人質問で明かされます。
犯行当日、被告人は自宅のある愛媛県からタクシーと電車を使って、広島駅へ行き、そこから新幹線で福岡に移動。さらにファーストクラスを予約してJALの航空機で羽田空港に向かったという。羽田空港でマッサージを受けると、再びファーストクラスを予約して福岡空港行きの航空機に搭乗。席に座り、被害女性である客室乗務員さんに荷物を棚に上げてもらった時にX被告人はお尻を触りたいと思ったそうです。
この後、トイレを利用した際、X被告人はペーパータオルがうまく取れずムシャクシャして、わざとペーパータオルを床に散乱させたという。そして、X被告人は、トイレが汚れていると報告して掃除をさせ、トイレの中から出てきたところでX被告人が被害女性のお尻に手をまわして4~5回揺さぶるようにして揉んだというのが事件の流れです。
冒頭陳述を聞いてもなんだかよくわからない事件です。なぜファーストクラスで東京~福岡間を往復したのか? なぜ客室乗務員さんの体を触ることになったのか?
次ページ:客室乗務員へ強制わいせつを繰り返す理由