イベントが起きることによって発行されるダイナミックNFT
NFTアートとして利用されるNFTは、静的なものであり、デジタルな証明書といった説明がなされます。現実に起きるイベントなどで左右されることはありません。
しかし、ダイナミックNFTは、イベントが起きたときに応じてNFTを発行する仕組みになっていて、リアルなイベントの変化によって、NFTの発行量などが変化します。ブロックチェーンのスマートコントラクトの機能に、オラクルという現実のイベント情報を提供する仕組みと組み合わせることで実現します。
有名なデータベース会社オラクルと同じ名前なので混同してしまいそうですが、データベースのオラクルとは関係ありません。ここでのオラクルは、気温や天候といった自然現象や出荷数・飛行機の発着といった社会現象などのデータをブロックチェーンに渡す役割をしています。オラクルを使うことによって、現実世界での出来事によってNFTが自動的に発行されるという仕組みを作ることが可能になります。
ダイナミックNFTの面白い事例としては、スポーツのファントークンを発行・運営しているChiliz(チリーズ)があります。Chilizには、FCバルセロナをはじめとして、ヨーロッパのサッカー・クラブチームがいくつも参加しています。
ダイナミックNFTは、サッカーの試合でゴールを決めたとか、相手チームとの点差が大きくなったといったイベントに応じてNFTが発行されます。ファンからすれば、ダイナミックNFTを手に入れるということは、大谷翔平のホームランボールを手に入れるようなものなので、その瞬間にNFTトークンを求めるようになるのです。
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