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文:角谷剛
一青窈は名曲『ハナミズキ』で「君と好きな人が100年続きますように」と唄った。ここでの100年とは、死が2人を分かつまで続く永遠の愛を意味すると思われる。
ところが、人間の寿命は100年よりもさらに長く、120歳から150歳までは生きることが可能かもしれない。そんな結論を出した研究論文が5月25日、科学雑誌『Nature Communications』に発表された。
80歳は40歳に比べ、回復に3倍要す
シンガポールのバイオテクノロジー会社『Gero』の研究チームは、米国、英国、ロシアに住む50万人以上の被験者を対象に、血球数の変化とウェアラブル端末による1日あたりの歩数を調査した。人は病気や怪我などの身体的ストレスを受けると、血球数と歩数がともに変動し、通常状態へ回復するのに時間を要する。この回復力は加齢とともに低下し、80歳の人は40歳の人と比べ、回復するのに平均3倍の時間を要するという。
研究チームは数理モデルの手法を用いたシミュレーションを行ったところ、120年~150年で、その回復力が完全に失われ、つまり死に至るという結論に達した。また、この「絶対的な限界」は超えることが出来ないという。研究論文によると、この回復力は一般的に30代半ばから40代半ばに急激に低下し、回復に時間が要するようになるとのこと。もし将来的にその回復力をさらに伸ばす方法を開発できれば、人間はさらに長く、そして健康的に生き続けることが可能になるかもしれないと論文著者らは述べている。
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