食のベルギー、新規ビジネスのオランダ
チョコレートのイベントで、チョコレートと日本酒について講演をして、試食・試飲をしてもらった際の写真
―― ベルギーとオランダは隣り合っていますが、文化や環境は違うようですね。
西田:違うと思いますね。ベルギーのいいところは、圧倒的に食文化が優れているところ。国の半分はフランス語圏、半分はオランダ語圏、そしてドイツ語圏がちょっと入っているんですが、食文化はフランスの影響を受けていて、本当においしいものがたくさんあります。
逆に悪いところは、税金が高いところ。役人の数が多いから、彼らのお給料がそのぶん掛かってくるんです。扶養家族がいないと、年収の半分以上が税金で吹き飛びます。しかも、それがうまく使われているわけでもありません。道路のど真ん中には穴が空いていて、ずっと放置されている。オランダに向かって車を走らせていくと、国境を越えたあたりで道路がスムーズになるのが体感できます。
オランダに引っ越した友人に話を聞くと、ベルギーと違って街は本当にきれいで、ストレスフリーだと。そういう意味では日本から移住するとしたら、オランダのほうが住みやすいのではという印象があります。どうでしょう?
吉田:西田さんのおっしゃるとおりだと思います。僕としてはベルギーのごはんが羨ましいですね(笑)。ちょっと付け加えると、オランダには新しいビジネスが始めやすいという特徴があります。「とりあえずやってみようよ」という感覚で取り組んでみると、意外とうまくいく。でも、ベルギーでは、途中で進まなくなる場合が多いようですね。
西田:オランダでは書類を役所に持っていくと丁寧に見てもらえて、言われたとおりの時間で申請が通ると聞きます。でもベルギーでは、役所の中で書類がなくなったりと、驚くようなことが起こります。だからフランス語でクレームを言う技術はかなり上達しました(笑)。
―― 住みやすさはどうでしょうか。
西田:ベルギーは首都ブリュッセルだけで見るとすごく国際的で、あまり自分が外国人だと意識せずに住めます。ベルギー人は4割ぐらいで、残りはみんな他の国から来た人たち。とはいえEUの本部があるので、外国人の半分ぐらいはヨーロッパ人です。モロッコやトルコから来ている人たちも多い。日本人コミュニティも大企業のヨーロッパ本社がある関係で大きいです。このような事情があるからか、ベルギーの人たちはみんなフラットで親切ですね。
―― では、差別はほぼ受けないと。
西田:なくはないけれど、私のまわりではほとんど聞きません。私自身は、コロナの感染が広まり始め、アジア人へのヘイトが問題になっていた頃、街でおばあさんに怒鳴られたことが1回だけありましたね。
吉田:オランダもだいたい一緒です。基本的には、ほとんど差別はないんじゃないかな。住みやすい国だと思いますよ。
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