CULTURE | 2021/03/09

ソロデビュー10周年で歌も演技も文章も日本のトップに なぜ星野源は国民的ヒットメーカーになれたのか【連載】テレビの窓から(5)

イラスト:IKUMA

木村隆志
コラムニスト、コンサルタント、テレビ解説者
「忖度なし」のスタンスで各媒体に毎...

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遊びながら作り相乗効果を生む

星野源は2月18日、23日の『スッキリ』(日本テレビ系)でハリセンボン・近藤春菜と対談。シングル「創造」の歌詞にある「独(いち)を作り出そうぜ」に込めた思いや、「ちゃんと遊びながら音楽作りすること」の大切さなどを語っていた。

実際、星野源は昨年4・5月の外出自粛期間中にピアノをはじめ、初めてキーボードで曲を作り、「それが楽しかった」とコメントしている。同じ時期に『うちで踊ろう』でコラボを呼びかけたり、フィルムカメラでインスタグラムをやっていたりすることなども含め、すべての活動で「遊びながら作ること」を体現し続けているのだ。

また、星野源は音楽家、俳優、文筆家で活動することの楽しさにも言及していた。「音楽はセルフプロデュースで自らディレクションしますが、演技はいろんな責任者がいる中に素材として入っていきます。文章は孤独な作業で心の中を書いていく感じ」とアプローチの違いを明かしつつ、相乗効果を生んでいることを楽しそうに語っている。

さらにそれだけで終わらせず、「俳優はセリフが自分の言葉じゃないから恥ずかしくないし、全然できるんですよね。着ぐるみを着ているみたいな感じというか、カツラ1個あれば何でもできる」と笑いにつなげてオチをつけるトーク力を身につけているのだ。

だからファンが支持するだけでなく、ファン以外の人にも「嫌いになりづらい」「認めざるを得ない」というムードがあり、国民的なヒットメーカーとなれたのではないか。その佇まいにだまされがちだが、すでに相当な大物であることは間違いない。


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