CULTURE | 2021/03/09

ソロデビュー10周年で歌も演技も文章も日本のトップに なぜ星野源は国民的ヒットメーカーになれたのか【連載】テレビの窓から(5)

イラスト:IKUMA

木村隆志
コラムニスト、コンサルタント、テレビ解説者
「忖度なし」のスタンスで各媒体に毎...

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身近なのに届かない不思議な距離感

そしてもう1つ、星野源の人気を確固たるものにしているのが、ネガティブな一面を隠そうとせず、逆に自ら見せようとしていること。

2月27日放送の『マツコ会議』(日本テレビ系)に出演した星野源は、マツコ・デラックスから「闇が見える人」と言い切られたほか、「結婚はしたいし、寂しいですね」「ライブのあとは帰っても寝れないし、グルグル回ってる洗濯機を見ながら、ものすごい孤独感にさいなまれるときがあります」「お酒もあんまり飲めなくて、『電話する友だちがいたらいいな』と思うんですけどいないので」と自虐気味に語っていた。

さらに、脱力感を抱かせる変態性とエロもファンを引きつけている要素の1つだろう。前述したように星野源は「普通の男性」と思わせておきながら、実際は舞台で裸になり、ラジオで下ネタを連発するなど、変態性やエロを隠そうとしない。

むしろ、「身も心も恥部をさらしていこう」「人前に出るのなら隠さずに出していかなければいけない」という意図的な姿勢を感じさせ、そのギャップでファンを楽しませている。もちろん単なる変態やエロではなく、あくまでエンターテイナーとして人々を楽しませるためのものであり、だからファンたちも安心して楽しんでいるのだろう。

また、星野源は2012年と2013年の2度に渡って、くも膜下出血を発症して活動休止を余儀なくされた過去がある。しかも、そんな苦しい経験をしたことで、「どうせなら面白いことをやって死にたい」と思いはじめ、ようやく明るい歌を作れるようになったことをファンたちも知っているから、おのずと応援のボルテージは上がっていく。

星野源とファンとの間には、「ネガティブなところを隠さずに見せて親近感を抱かせる」のに、それでいて「手が届きそうにない」とも思わせる不思議な距離感がある。その不思議な距離感こそ、星野源のことが気になり、追いかけたくなる理由なのではないか。

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