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文:汐里
森林購入の目的は新たな家具の材料を確保するためではない
スウェーデン発の家具量販店IKEAの親会社「インカ・グループ」は先月14日、アメリカ・ジョージア州南東部のアルタハマ川流域近くに位置する、およそ1万1000エーカーの森林を、非営利の環境保護団体「コンサベーション・ファンド」から購入したと発表した。東京ディズニーランド87個分もの広さに相当するこの土地には、希少なロングリーフ・パインの森林や絶滅危惧種のゴファーガメなど、350種類以上の植物や野生生物が生息する。
同グループがこの巨大な森林を買い取った理由は、新たな家具の材料を確保するためではない。開発から土地とその多様な生態系を保護するためだ。
コンサベーション・ファンドの社長兼CEOのラリー・セルザー氏は、インカ・グループの取り組みについて「インカ・グループと一緒に仕事できることを光栄に思いますし、アメリカとヨーロッパの森林の質の維持と向上に尽力している同グループの姿勢を称えたいです。適切に管理された森林は、気候変動の緩和だけでなく、綺麗な水や重要な野生生物の生息地など、本質的な利益をもたらします」とコメントしている。
また、インカ・グループのマネージメント・ディレクターを務める、クリスタ―・マッツソン氏は『CNN』の取材に「私たちは責任ある森林管理が可能であると確信していますし、私たちが所有する土地、ひいては地球に対する責任として、森林を回復させる、つまり伐採以上に植樹することだと考えています」と話している。
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