CULTURE | 2021/02/03

常に誰かを悪者に仕立て上げ糾弾。10年前の東日本大震災とコロナ禍の共通点【連載】中川淳一郎の令和ネット漂流記(20)

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中川淳一郎
ウェブ編集者、PRプランナー
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コロナと原発を巡る差別

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今回のコロナについては騒動開始から約1年が過ぎたが相変わらず分からないことが多く、日々新ネタが投下されて両派の激突が連日のように展開されている。テレビに登場する専門家についても、信者もいればアンチの両方がいて、日々専門家やコメンテーターがネット上の話題になっている。

いくらネットが発展し、地上波テレビがオワコン扱いされてもやっぱりテレビの影響力は凄まじいし、ネット上の議論の起点となり続けているのである。

さて、あの時と本当に今は似ている。震災と福島原発事故においては「絆」という言葉が多数取沙汰され、助け合い精神はあった。だが、被災地、特に福島原発近くの住民への差別は凄まじいものがあったし、仮設住宅に住む住人に対しても「無料で住んでパチンコばかりしている。補助金頼りでぐうたらしている」といった批判も寄せられた。

もちろんそういうマインドの人もいただろうが、突然生活を破壊された人に立ち直る気力はなかったかもしれないし、もはや高齢で新しいことなどできない人も多数いただろう。挙句の果てには東京や埼玉に引っ越した子ども達は学校で「放射能がうつる、あっちへ行け」などといじめられたりした。

今回のコロナ騒動でも、当初はアクティブシニアが散々批判に晒された。途中から陽性者数の多い東京が差別された。ネット上では「トンキンいい加減にせぇ!」などと東京たたきが過熱。東京名物のお菓子「東京ばな奈」にかけて「東京ころ奈」といった言われ方もされた。他県ナンバー狩りも発生し、東京からの帰省者が来た家には「帰ってください」の貼り紙がされた。

2011年と2020~2021年、約10年の時を経ても結局ネット上でもリアルでも差別をし続ける状態が続いているのだ。そして、常に誰かのせいにされ、叩かれる。前回は東電の管理体制のまずさと政府の対応が非難された後に、今度は福島の住民が非難された。常に誰かを悪者にしなくては心の平穏が保てないのが人間というものの性なのであろう。

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