判決の言い渡しで、裁判官から異例の質問
最後は裁判官からの質問。
裁判官「ストレスを解消するために楽しんでいたってのもあったんですか?」
R被告人「そういうものあったかな、と」
裁判官「もしね、今後電車乗っててシートを切り裂いている人を目撃したらどうします?」
切られたらシートを見掛けること自体が珍しいのに、現行犯でその状況に出くわすことはないと思うんだけど、見掛けたらどのような行動をするのかと問われて、
R被告人「その時はやってる人に声を掛けようかと思ってまして、一緒に警察署に行こうかと考えています」
と、まさかこういう質問が飛んでくるのを想定していたのか、犯人を連行すると考えているようです。相手は刃物持ってるから駅員に連絡する方が安全な気もするけど、シート切りの先輩として、犯人の気持ちを理解できるかもしれないですね。
裁判官「声掛けるとあなたに良いことあるの?」
R被告人「自分と同じことを繰り返してほしくないので」
裁判官「その心がけ、亡くなるまでずっと続けてくださいね」
と、死ぬまでの約束をしたところで質問終了。
この後、検察官が懲役1年6月を求刑して、初公判は閉廷です。
初公判から3週間後の1月14日に判決が言い渡されました。結果は、懲役1年6月執行猶予3年。判決理由としては、繰り返し行われていて、シートを切り裂いた幅も長く、大胆で悪質な犯行であると指摘。しかし、被害の一部を弁償しているし、内妻が監督を約束していて、前科もないので執行猶予を付けたという内容です。
これで終わりかと思いきや、
裁判官「4つの起訴状を省略せず、しでかしたことをあえて読み上げました。判決の理由で、“大胆かつ悪質”と言いましたけど…、言っちゃあ悪いですけど、いい大人がよくこんなこと繰り返してくれましたねぇ、と。自分でしたこと、子どもに伝えられない犯罪じゃないでしょうか?」
と判決の後に、質問をしたんです。ものすごく珍しい。説諭をする裁判官はいるけど、質問をする裁判官がいるなんて。そして、R被告人に子どもがいるって話は出てきてなかったので、幼い児童たちって意味でしょうかね。その答えが、
R被告人「そうですね…。なんで…、繰り返しやってたのか、今となっては…」
裁判官「精神的苦痛を与えたことも考慮して償ってください」
とアドバイスして閉廷でした。
前科がないんだから、59年間犯罪とは無縁だったのにねぇ。よっぽど大切にしてたバッグが見つからなかった怒りが座席シートに向かってしまったんでしょうかね。本人さえも、よくわかってないのかな、と感じましたけど。