CULTURE | 2021/01/20

電車の座席シートを切り裂きまくった60歳男性、実は鉄道ファン?ドアにバッグが挟まった腹いせに復讐【連載】阿曽山大噴火のクレイジー裁判傍聴(21)

Photo by Shutterstock
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阿曽山大噴火
芸人/裁判ウォッチャー
月曜日...

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鉄道ファンを名乗るも、車両内の色が分からず

そして、被告人質問です。まずは弁護人から。

弁護人「起訴は4件ですけど、実際には余罪が8件もあると?」
R被告人「はい」

かなり切りまくっていたようです。

弁護人「何がきっかけなんですか?」
R被告人「忘れ物を見つけてもらえなかったんです。他にも急にドアが閉まって体が挟まったり、ホームにいたら時間より早めにドアが閉まって乗れなかったり」
弁護人「それがなぜシートの切り裂きなんですか?」
R被告人「大したことない軽めのことかなと」

被害額もかなりの額だし、復旧作業も時間かかっただろうし。何より、切り裂かれたシートに座る乗客も不気味だったと思うんですけどね。軽めのことって認識だったとは。

弁護人「カッターを持ち歩いていたのはなぜ?」
R被告人「仕事で段ボールを切るのに、必要でした。でも、もう持ち歩きません」

犯行のために持ってたわけじゃなく、清掃の仕事で使うための道具だったようです。

弁護人「今後同じことはしないって言いきれる?」
R被告人「はい! 逮捕されるまではバッグを探してもらえないとか、すべてJRのせいにしてました。今は自分のせいだと思ってるので」
弁護人「そこで疑問なんですけど、JRに怒りがあったのに東京メトロ東西線のシートを切ったりしてる理由は何ですか?」
R被告人「乗り入れしてるので間違っちゃって……」

うっかりミスみたいです。それで被害を受けるってのもたまったもんじゃないだろうけど。

続いて、検察官からの質問。

検察官「過去に鉄道会社の面接を受けたと?」
R被告人「23歳の時に、国鉄と西武鉄道を」
検察官「それで採用されなかったから恨みを持ってたんですか?」

忘れ物がどうのとか、ドアに挟まれたとかじゃなく、40年近く抱き続けていた積年の恨みが犯行の動機だったのか…と思ったら、

R被告人「恨みとかはありません」

検察官が勝手に大風呂敷広げただけでした。紛らわしい…。

検察官「あなたは鉄道ファンなんですか?」
R被告人「鉄道は好きですね」
検察官「鉄道オタクなの?」

ファンとオタクの違いは何なのか定義をハッキリさせてから質問してくれよと思ってたら、

R被告人「オタクとまではいきませんね~」

と謙遜するR被告人。

検察官「鉄道好きなら、JR中央線と東京メトロ東西線の車両内の色の違いわかるでしょ?」

これを訊きたくて鉄道オタクの確認をしてたんですね。まどろっこしい。

R被告人「色の違いは降りてから気づきました」

と、犯行時は気づかずにやってたようです。

次ページ:判決の言い渡しで、裁判官から異例の質問