CULTURE | 2021/01/07

2021年コロナ禍が深刻化しても、まだまだ芸能人の独立は続く理由【連載】テレビの窓から(3)

昨年12月28日、オリエンタルラジオの中田敦彦と藤森慎吾が吉本興業の退社と独立を発表し、いまだにその関連ニュースが報じら...

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コロナ禍でも芸能人の独立が増える理由

もちろん独立はメリットばかりではなく、プロモーション、情報収集、接待交際などを含むセルフプロデュースが必要であり、スキャンダル対応、金銭トラブル、訴訟などの危機管理も求められる。つまり、よほど図抜けたスキルやカリスマ性の持ち主でない限り簡単ではないのだが、それでもまだまだ独立の流れは止まらないだろう。

一方、芸能事務所にとっても、優秀な芸能人たちから選ばれる組織となるために、ネットの活用を含むマネジメント全般を見直していくべき時期が訪れている。これは裏を返すと、「マネジメント方法の見直しがうまくいかなければ、芸能人本人がエージェントやマネージャーと契約を結んで活動するアメリカのような形に少しずつ近づいていく」ということなのかもしれない。人気者ほど、その形で何の問題もなく活動できてしまうところに芸能事務所の苦しさがうかがえる。

2021年になってコロナ禍がますます深刻化しているが、それでも芸能人たちの独立を阻む理由にはならないだろう。そもそもドラマやバラエティへの出演数が減っても、給料制でない限り、芸能事務所はその分を補填してくれないはずだ。

また、人々の在宅率が上がっているためYouTubeやSNSで発信すれば見てもらえるチャンスの時期なのだが、残念ながらそれをしっかりサポートできる芸能事務所は少なく、むしろ「自分の人脈で探したほうが早い」とみなされがち。さらに言えば、コロナ禍で考える時間が増えたことで、自分のキャリアを見直し、その中で独立を考えはじめるのは当然だろう。その意味では、「日本の芸能界があるべき方向に進みはじめている」と言えるのではないか。


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