CULTURE | 2021/01/07

2021年コロナ禍が深刻化しても、まだまだ芸能人の独立は続く理由【連載】テレビの窓から(3)

昨年12月28日、オリエンタルラジオの中田敦彦と藤森慎吾が吉本興業の退社と独立を発表し、いまだにその関連ニュースが報じら...

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「芸能人の成功パターン」が多様化

当時さまざまな撮影現場から、「これで芸能人の独立が進むだろう」という声があがっていたが、そのスピード感は予想をはるかに上回るものだった。

芸能人が独立に向かうスピード感を上げたのは、YouTube、Twitter、Instagramなどネットツールの存在。とりわけYouTubeは知名度のある芸能人にとっては“保険”以上の収入源となりつつあり、実際に「開始数か月でテレビ出演の報酬を超えてしまった」という人も少なくない。

ここ数年間で芸能人たちは、YouTubeの登録者数や再生回数、TwitterやInstagramのフォロワー数などで人気が可視化され、それが武器になることを知っていった。中居正広や米倉涼子のように全国区の知名度や十分な実績がなくても、「SNSにフォロワーが数十万人いれば、それなりの商売ができる」という意識が生まれたことが大きいのだ。

また、それらで自分のメッセージやスキルをアピールできるなど、「事務所が望むキャラクター」「台本ありきのテレビ番組」に縛られない自由さ。さらに、自分を支えてくれるファンを手厚くフォローできることなども、独立を考える理由の1つとなっている。

これまでは「大手芸能事務所に所属して、テレビ局に売り込んでもらい、スターになる」という成功パターンのみだった。しかし、現在は「大手どころか中小の芸能事務所にすら所属していないフリーでも十分勝負できる」「テレビ番組に出られなくても、ネット上でスターになることも可能」になるなど、成功パターンの多様化が背中を押しているのだろう。

たとえば、「仕事のオファーはSNSのダイレクトメッセージで受け付けている」というフリーの芸能人もいるし、制作サイドもそれが当たり前のように受け入れるようになった。実際にYouTubeの動画やインスタライブを見て、「ウチの番組でも同じようなことをしてもらえませんか?」というオファーを出しているのだ。若い世代の芸能人ほど「ネットが主で、テレビが従」とみなす人が多く、それならば大手事務所に所属する意味が薄れるのも当然ではないか。

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