CULTURE | 2020/12/24

遺体を地球の栄養素に。100%キノコ製の棺桶「リビングコクーン」が火葬や土葬に問いを投げかける

文:山田山太
日本では葬送の方法として火葬が一般的だ。一方、キリスト教文化圏である欧米では、遺体に防腐処理を施したのち...

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文:山田山太

日本では葬送の方法として火葬が一般的だ。一方、キリスト教文化圏である欧米では、遺体に防腐処理を施したのち棺桶に入れて埋める、いわゆる土葬が主流だ。

しかし、そんな中、今までとは違うアプローチで葬送を行う棺桶がオランダから生まれ、話題となっている。

2~3年で遺体が分解

オランダ・デルフト大学のバイオデザイナー、ボブ・ヘンドリクスさん(26歳)は、「リビングコクーン(生ける繭)」という名の棺桶を開発した。その特徴は棺桶全体が菌糸体、つまりキノコの根っこ部分で作られているところだ。

一般的な棺桶はニスを塗った木材と金属で作られており、完全に分解されるまでに10年はかかるとされている。また、遺体を防腐処理するための薬剤が地下水を汚染するなど、環境への負担が非常に大きいと指摘されている。さらに、棺桶を埋めておく物理的なスペースにも当然限りがあるため、土葬を疑問視する声も少なくない。また火葬も大量の燃料を使うため、決して環境に優しいとは言えない。

しかし、この「リビングコクーン」に遺体を入れて埋葬すると、1カ月から1カ月半で土に吸収され、およそ2〜3年で遺体が分解されてしまうのだ。しかも分解された遺体はその土地の肥料となるため、土壌改善にも役立ってしまうというから驚きだ。

ヘンドリクスさんは「菌糸体は常に石油やプラスチック、金属、その他の汚染物質などの廃棄物を探し、環境のための栄養素に変換しています」「この棺桶は、私たちが実際に体を使って地球に栄養を与えることを意味しています。私たちは廃棄物ではなく、栄養素なのです」と『ガーディアン』の取材に語った。

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