Beyond 5Gを支えるエッジ技術 ~産学の力でエンジニアリング!!~(Theme3)
3日目のテーマは「デジタル社会を支えるテクノロジー」。デジタル社会を下支えする5G・Beyond5G、およびその周辺技術を、技術的な視点から今何ができるのか?をキャッチアップし、さらにはその先の動向を見据えて今後の展望を議論するという内容だ。
本講演は福井大学 学術研究院工学系部門の橘拓至教授と、富士通 ソフト化技術開発室の藤井雅章氏が登壇。
今年から商用利用がスタートした5Gのさらに次の通信システム「Beyond 5G(いわゆる6G)」の実現に向けて総務省が戦略策定を進めている中、それを実現させるための重要機能のひとつである「AI技術により人手を介さず(ゼロタッチ)あらゆる機器が自律的に連携し、有線・無線を意識せず即座に利用者のニーズに合わせて最適なネットワークを構築する自律性」を達成すべく、福井大学と富士通が情報通信研究機構(NICT)の委託を受けて実施する、共同研究の内容が発表された。
講演では福井大学、富士通がそれぞれ学・産側の長所を活かし弱点を補いながら、システムのプロトタイプ完成に至った経緯を解説し、今後取り組んでいく内容の展望も語られた。
講演資料より
講演資料より
ドローン前提社会 〜空を目指そう〜(Theme3)
慶應義塾大学 ドローン社会共創コンソーシアム 副代表の南政樹氏による講演。同氏が目指すドローン前提社会とは「昼夜問わず、地球のあらゆる空間で、全ての人が目的を達成する選択肢としてドローンを利用できる社会」というものだという。
講演資料より
国土の多くが山林で占められる日本は、1987年にヤマハが農薬散布用ラジコンヘリコプターを発売し、2002年段階では世界のドローン利用の約65%が日本国内であるなど、実はドローン大国だったそうだ。ドローンの進化には、小型で高性能なセンサーがスマホ普及によって研究開発が進み、さらにチップ・センサーなどが大量生産されることで安い部品として使えるようになったことが大きく影響している。
数多くの社会課題を抱える「社会課題先進国」日本において、ドローンがどのように解決に寄与できるのか。南氏は現在の日本のドローン産業の状況、楽天と西友が2019年に、神奈川県横須賀市の猿島で実験的に行ったドローンによる日用品輸送、そしてSMBC日興証券、株式会社NTTドコモ、ソフトバンクなどが出資するベンチャーキャピタル「ドローンファンド」の取り組みを紹介。すぐそこまで迫った「空の産業革命」でどんな社会が実現するのかという未来像をわかりやすく提示した。
講演資料より
講演資料より
Let IoT Talk(Theme3)
台湾国立交通大学 副学長の林一平(Jason Yi-Bing Lin)氏による講演では、非プログラマーでもGUIベースでIoTアプリケーション開発ができる台湾製のシステム「IoTtalk」を紹介した。どのような技術を用いてIoTtalkが動作しているのかを説明し、どんなアプリケーションが開発されているのかという事例も多数紹介されている。
本講演では、湿度・温度・二酸化炭素濃度などの測定はもちろん、土壌の養分変更や栄養液の調合も自動でできる「AgriTalk」、稲や土壌が病気にかかりそうになる兆候を検知し適切な薬を与える「RiceTalk」、コロナ禍のオンライン授業において、学生の位置情報をアップし授業の出欠を取る「MapTalk」、多数の人がエレベーターを乗り降りする大規模施設でも、「どのエレベーターに乗れば最短時間で目的地に着くことができるのか」を提示する「ElevatorTalk」など、多数の便利なアプリが既に社会実装されている例を紹介した。
講演資料より
講演資料より
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ここまで駆け足で3日間の講演の一部を紹介してきたが、興味が湧くテーマが1つでも見つかったようであれば幸いだ。世界が一変した新型コロナ禍を乗り越えていくための多くのヒントが詰まっており、筆者も非常に勉強になった。
また本稿では紹介しきれなかった講演も、沖縄オープンラボの公式YouTubeチャンネルではいくつもアーカイブが紹介されているので、ぜひチェックしてみてほしい。