パンデミックに対応する柔軟な社会インフラとしての医療とIT(Theme1)
医療×災害の専門家で、新型コロナ禍においては日本医師会長アドバイザーに就任し、対新型コロナウイルス特別医療支援タスクフォースを立ち上げにも携わった、秋冨慎司氏(医療社団法人医凰会 医療危機管理部 部長)による講演。新型コロナ禍によって現在も全国各地で逼迫が続く医療現場に対し、負荷を軽減させるためにITで何ができるのか、というテーマが語られた。
講演動画キャプチャより
現在の医療現場にあるICTシステムが抱える問題として、「医療従事者がデータを取って入力し、それを分析し、マネージする必要がある」と言われているものの、現場が使いやすい・解析しやすい、改善すべき点をオペレーションに移しやすい体制が整っていないという問題を指摘。
また、同氏が東日本大震災の際には岩手県災害対策本部の医療班長として救助活動から避難所支援、その後の復興までを支援した経験から、「支援を求める情報が入ってこないということは、現場がそれだけ逼迫し、支援要請をする余裕すらなくなってしまっている」という事態が度々起こり、自治体の危機対応体制もそれを踏まえたシナリオ想定を準備しておくことの重要性についても語った。
加えて、離島も含めて医療インフラを柔軟に拡張できる具体的な方法として、同氏は数ヶ月前から「コンテナの発熱検査センター」を提唱している。より安価なプレハブは各社によって規格がバラバラで、性能が悪いものだと寒さやカビの問題も発生することもあり、国際規格なので世界中どこでも受け入れる準備もしやすいうえ、トラックやフェリーにも乗せやすいコンテナの活用がベターであるという。
講演動画キャプチャより
コミュニティに参加してて良かった事/自動化が変える運用とシステムの未来/今年のITインフラ業界 ビッグニュース ベスト10(BoF)
「自動化が変える運用とシステムの未来」のスライドPDFはこちら
1日目の最後には、最新の関心事を共有し、参加者がより気軽に議論できるセッションとなるBoF(Birds of a Feather)が開催された。
ここでは3つの講演が行われ、トップバッターは日本マイクロソフト株式会社の米須渉氏による、コロナ禍以降の勉強会運営の変化やノウハウを語り、「コミュニティに参加するとどんなメリットがあるのか」をわかりやすく解説した「コミュニティに参加してて良かった事」。
講演動画キャプチャより
続いて株式会社インターネットイニシアティブ テクニカルマネージャーの田中薫氏が、自社の例を引き合いに出しながら「日本企業の業務自動化が進まない理由は何か、何を改善すればいいのか」を語った「自動化が変える運用とシステムの未来」。
講演動画キャプチャより
そして最後は、日本仮想化技術 代表取締役社長兼CEOの宮原徹氏と、さくらインターネット 執行役員の横田真俊氏がタッグを組んだ「あすなろブラザーズ」が、今年のITインフラ業界の重大ニュースを高速かつコミカルに振り返る「今年のITインフラ業界 ビッグニュース ベスト10」を語り明かした。
講演動画キャプチャより
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