文:赤井大祐
先日の参議院選挙で、日本初となる重度身体障害者の国会議員が誕生。障害者の働き方に注目が集まっている。
そんな中、社会課題に特化したクラウドファンディングプラットフォームGoodMornigで、分身ロボット「OriHime-D」を用いたあるプロジェクトに多くの支援が寄せられている。
あっという間に目標額の210%を達成
そのプロジェクトは「分身ロボットカフェ ver.β2.0」。ALS(筋萎縮性側索硬化症)などの難病や重度障害で外出困難の人が、自宅や病院にいながら分身ロボット「OriHime」を遠隔操作し、接客をする実験カフェの運営を行うというもの。2019年10月7日(月)から10月23日(水)まで、大手門タワー・JX ビル1階の「3×3 Lab Future」内にオープンする。外出困難の人約20人がOriHimeを操作するパイロットとして参加する予定だ。
昨年、初めて開催した際には、たった10日間、1日4時間だけのオープンだったにも関わらず、1000人近くが来店した。
このプロジェクトの第二弾を行うため、8月27日からクラウドファンディングを開始。目標額300万円に対して、9月6日現在280人以上の支援者から632万円を超える支援が寄せられており、すでに2倍以上の金額を達成。この驚異的な数字からも、プロジェクトの注目度と期待値の高さが伺える。
2020年には常設で分身ロボットカフェを作りたい
前回は発話もできず、眼球しか動かすことができないALS患者2名も、分身ロボットを操作するパイロットとして参加。これまで難病や重度障害で就労を諦めていた人たちが「誰かとともに働く」ことで、社会とつながりを持つことが出来る可能性が開けてきたのだ。
取り組みを実施するオリィ研究所の代表の吉藤健太朗氏は、「2020年には常設で分身ロボットカフェを作りたい」と今後の展望を語った。
あの人気作品ともコラボ
さらに今回のプロジェクトは人気漫画『宇宙兄弟』の登場人物の名前を冠し、ALSの治療方法を見つける研究開発費を集める活動をしている「宇宙兄弟 ALSプロジェクト せりか基金」とのコラボが決定している。
ALSの患者は現在日本で約9000人。いまだに根本的な原因がわかっておらず、誰にでも発症リスクがあると言われている。
また、ALS以外にも事故などで身体機能を奪われてしまう可能性はもちろん誰にでもあり、決して他人事ではない。こういった取り組みが、身体障害者などのマイノリティの人々が悲観せずに生きていけるような社会づくりための一歩になることを願う。