文:岩見旦
SNSにおいて絶大な影響力を持つインフルエンサーに、商品やサービスを紹介してもらうことで、売上アップなどを狙うプロモーション手法はもはや定番となっただろう。
しかし、これとは真逆の方針を決めたアイスクリーム店が大きな話題となっている。
アイスクリームは4ドルで、インフルエンサーは8ドル
米国ロサンゼルスに拠点を構えるアイスクリーム店のCVTソフトサーブは、「インフルエンサーは料金2倍」というルールを定めた。
公式のInstagramに「私たちはあなたがインフルエンサーかどうか、フォロワーが何人いるかを気にしません」と綴り、「私たちはあなたがSNSへの投稿を引き換えに、無料でアイスクリームを提供しません。アイスクリームは文字通り4ドルで、インフルエンサーは8ドルです」と新たな方針を投稿した。
エスカレートするインフルエンサーからの要求
CVTソフトサーブは、ジョー・ニッチさんが奥さんのタイラーさんとともに2014年に設立した人気店。チョコレートとバニラ、ミックスを提供しており、ビンテージ風の移動販売トラックはインスタ映えにピッタリだ。
『Guardian』によると、始めはインフルエンサーから無料提供の依頼のメールが何通か届く程度だったが、次第にその数は増え、トラックに直接リクエストしに来ることさえあったという。時には、有名俳優のアシスタントが来て、出演者やスタッフみんなにアイスクリームを配るように求めてきたことも。エスカレートする要求にニッチさんは辟易し、今回の決断に至ったのだ。
ニッチさんは『Newsweek』に、「ロサンゼルスは、偽物のインフルエンサーで溢れかえっています。彼らは大量にフォロワーがいるものの、『いいね』やフォロワーを購入している可能性が高いです。誰もがフォロワーを買うことが出来ます。検索すればすぐ分かります」と語っている。
インフルエンサーへ無料提供を拒否したこのアイスクリーム店のルールを公表するやいなや、ネット掲示板で評判となり、取材が殺到。結果的に公式Instagramに何千人もの新しいフォワーを獲得する「たなぼた」を得た。
無料で泊めてと依頼したYouTuberとホテルが大喧嘩
インフルエンサーが無料提供を求めるトラブルは、近年頻発している。
昨年、YouTuberであるイギリス人女性のエル・ダービーさんはアイルランドのホテルに、YouTubeでの宣伝の代わりに、恋人と宿泊させてほしいと依頼した。その要求にホテル側は激怒し、メール文面をFacebookに投稿。これに対して、ダービーさんは「本来は報酬をもらうのが当然」と反論。非難の応酬となり、激しく炎上した。
いくらブームとはいえ、誰もがインフルエンサーの拡散を望んでいるわけではない。相手によっては不躾な要求であることを、インフルエンサーは肝に銘じておいた方がいいだろう。