CULTURE | 2020/05/18

元カレとの贅沢な暮らしが忘れられなくて。1500万円横領しハワイで豪遊した48歳女性の末路【連載】阿曽山大噴火のクレイジー裁判傍聴(13)

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阿曽山大噴火
芸人/裁判ウォッチャー
月曜日...

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乱れた金銭感覚と薄れる罪悪感

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続いて、検察官からの質問です。

検察官「自暴自棄でおかしくなったと言ってましたけど、バレるって思わなかった?」
K被告人「頭の片隅にあったと思うんですけど、いろいろありすぎて、心の隙間を埋めたかったというのが……」

ひとり笑ゥせぇるすまんでしょ。ココロのスキマを埋めたがっている自分と、ココロのスキマお埋めしますの自分。

検察官「横領すると現実逃避できたんですか?」
K被告人「一度知ってしまった高いホテルを忘れられなかったという部分が……」
検察官「いい暮らしがしたかったんですか?」
K被告人「ん~、当時付きあっていた男性が忘れられなかったと」

何年前の交際相手なのか、明かされなかったけど、その男と金銭感覚を引きずっていたというのが犯行の根っこにあったようですね。

検察官「クレジットの支払い、ハワイ旅行だけで330万円。度が過ぎてますよ」
被告人「今、振り返れば、バカじゃない?って思うんですけど、その時はそこまで……」
検察官「妹もお母さんも一緒だったんですよね。どう思ってたんですか?」

妹だけじゃなく、母親も一緒だったとは。

K被告人「なんだろう……母も病弱で、横領金なんですけど、いい思いをさせてあげたいって気持ちが……」

着服は1回だけじゃなく、何回も行ってたわけで、バレるとか罪悪感とか薄くなってたかもしれませんね。

検察官「で、被害会社から民事の方で請求されてる金額が3322万円と、間違いない?」
K被告人「細かい金額は憶えていないというのが正直なところですけど、支払います」

月10万円の返済って話だから、330カ月払いかぁ……。

最後は、裁判官からの質問。

裁判官「弁済は株を売ったのかな?」
K被告人「大きく下がる前に」
裁判官「当時も贅沢したいなら、株売ればよかったんじゃない? なんで、会社のお金?」
K被告人「その頃は、何て言うんですかね……」
裁判官「これね、誰も理解できないですよ。今まで犯罪とは無縁のあなたが、つらいことがあったのは聞きましたけど、ストレス発散と犯罪って、まったく別の話でしょ。お金に困ってたわけでもない。この手の事件、被害者にこんなにお金すぐ払える人、少ないですよ」
K被告人「持ってた株がたまたま上がっただけで、当時はそんなでもなくて……」

と、なぜか、株価の話に。

裁判官「これは、欲にかられたということですか?」
K被告人「身の丈に合った生活に戻れなくて」
裁判官「どう? 戻れそう?」
K被告人「戻ります! 戻らないと……」

と、金銭感覚を、彼と知り合う前に戻すと誓って質問終了。この後、検察官は私利私欲を満たす悪質な犯行であるとして、懲役3年6月を求刑です。一方弁護人は、弁済も終わり、家族が監督を約束しているし、前科前歴もないと弁論です。

さすがに判決は1、2週間後かなと思いきや、

裁判官「こういう時期ですし、(東京と北海道を)行き来するのもね。重大な事件ですが」

と言い出して、すぐさま判決でした。

結果は、懲役3年執行猶予4年。裁判官は最後に「金銭感覚の修正してください。しないと大変なことになります」とアドバイスして閉廷でした。

良い思い出にすがって生きるのは今を生きてる感じがしないですね。急に富を得たとき、急に貧しくなった時、ダメになった時、その人の価値が問われるのかなとぁと。


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