文:赤井大祐
未だ解消しないマスクの供給不足を受け、世界中でオリジナルの自作マスクが次々と公開されている。
そんな中、ドイツ・ミュンヘンに拠点を置くデザイン会社「BMW Group Designworks 」のデザイナー、エフゲニー・マズロフ氏によって、誰でも自宅で簡単に作ることができるダンボールマスク「BU MASK(ビューマスク)」が、3月18日に公開された。
人間工学に基づいたマスク
まずは、「BU MASK」のプロジェクトページからPDFデータをダウンロードし、ダンボールなどの厚紙にプリントアウトする。耳掛け用の紐、テープかノリ、錐などの穴あけ用の道具、そしてフィルターとなるペーパータオルや業務用のナノファイバー布を用意しよう。
作り方は以下の通り。
1. プリントアウトしたデータを切り出し、直線を山折りに、最上部の点線は谷折りにする。作るサイズに合わせて下部の折り目の位置が違うので注意してほしい。
2. のりしろ部分を糊やテープで固定する。
3. 錐で紐を通すための穴を開け、紐を通していく。
4. 鼻のフィット感を参考に長さを適宜調整し、鼻周りの通気孔を折り込む。
5. フィルターが12cm四方の正方形になるように、12cm×36cmのものを3つ折りにし、内側にセットしたら完成だ。
このマスクは馴染みの無い形状をしているが、人間工学に基づき設計されており、サイズを調整したり、空気がフィルターを通るように作られている。フィルターとしてペーパータオルを使用した場合でも30~40%の保護効果があるとのこと。
なおマスクを使用する際は、フィルターを2、3時間おきに交換するようにし、マスク本体も6~8時間を目処に交換してほしいとのことだ。
日本人2人も参画
「BU MASK」のプロジェクトを立ち上げたマズロフ氏は、今年2月にロシア・モスクワに立ち寄った際、新型コロナウイルスの影響による検疫や渡航制限を受け数週間の足止めを余儀なくされたという。「その経験が、私にできることは全力で成し遂げたいという強烈な欲求を呼び起こし、行動に向かわせたのです」と話し、「オープンラボ形式でデザイナーやエンジニアのアイデアを集結すれば、この危機的状況下で社会が必要とする製品を素早く提供できるのではないか、と思い至ったきっかけとなりました」とプロジェクト立ち上げの動機を語った。
「BU MASK」はなるべく簡単、安価に人々の手に行き渡ることをコンセプトに、マズロフ氏の他にロシア、ドイツのデザイナーやデベロッパーが開発に参加。日本からもアーティスト、日本語テキストの担当として2名が参画している。完成までには約30のプロトタイプが作られ、およそ40時間以上が費やされたという。
「BU MASK」のデータはオープンソース化されており、クレジットを明記すれば二次利用も可能。さらにプロジェクトでは企業からの協賛を呼びかけるとともに、アーティストやデザイナーからのビジュアル面、性能面での改善策も随時募集しているので、アイデアを提供したいという方は連絡してみてほしい。
困難なときこそ自分にできることを探すことで、きっと多くの人を助けることができるはずだ。