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現在の新型コロナウイルスをはじめとした疫病、そして戦争や差別、環境問題などが日々ニュースに載ります。ほとんどは世界の危機を伝えることです。一方で、世界はずっと過去より良くなってきていると僕は思います。少なくない日本人は未来について悲観的だと言われますが、実際は多くの技術が日々世の中を変えています。僕は進歩とその原因であるテクノロジーにもっと注目すべきだと思っています。
高須正和
Nico-Tech Shenzhen Co-Founder / スイッチサイエンス Global Business Development
テクノロジー愛好家を中心に中国広東省の深圳でNico-Tech Shenzhenコミュニティを立ち上げ(2014年)。以後、経済研究者・投資家・起業家、そして中国側のインキュベータなどが参加する、複数の専門性が共同して問題を解くコミュニティとして活動している。
早稲田ビジネススクール「深圳の産業集積とマスイノベーション」担当非常勤講師。
著書に「メイカーズのエコシステム」(2016年)訳書に「ハードウェアハッカー」(2018年)
共著に「東アジアのイノベーション」(2019年)など
Twitter:@tks
日本はテクノロジーについて不感症になっている?
アメリカのマーケティング会社Edelmanは、毎年Trust Barometerという「どういうものが信じられているか?」という世界的な調査をしています。
Edelmanによる2019年の「技術への信頼度が高い国、低い国」調査。インドや中国は高く、日本は低い
2019年の調査(PDF)では、日本を含む先進国はハイテクへの信頼感が低いとして上げられていました。「テクノロジー分野への信頼」について、中国、インド、メキシコ、インドネシアなどの国々が90%近い数字を出しているのに対して、アメリカでは73%。日本はグループ内で一番低い66%を示しています。実際に、SXSWやTEDのような先進国のインテリが集まるフェスでは、「テクノロジーの暴走」はよく出てくるテーマです。
2020年の調査(PDF)では、テクノロジーについてさらに深掘りしています。「オートメーションが人間の仕事を奪うか?」「5Gが世の中の変化を起こすか?」「VRが変化を起こすか?」などの問いに対して、日本はいずれも「何も起こらない」と考えているグループにいます。フランスのような国では「テクノロジーの暴走を憂う」みたいな項目のポイントが高いのですが、日本はそこも高くなく、総じてテクノロジーに対して不感症なのかもしれません。