© 2020 Souraku Network, Inc.
取材・文:6PAC
長山秀子
相楽ネットワーク株式会社 代表取締役
法政大学社会学部社会学科卒業。大阪教育大学大学院教育学研究科健康科学専攻修士課程修了。大学卒業後教職に就く。1997年から2000年にかけ渡米。帰国後、家庭児童相談室に勤務し被虐待児のサポートを中心とした活動を行う。2006年、夫が京治バイパス多重事故に巻き込まれ突然死亡した(NHKドラクロア出演)のち、「こころとからだの健康」とは何かというテーマを意識しながら学びを深める。現在、スクールカウンセラーと、相楽ネットワーク株式会社代表取締役を兼務。
牛乳の甘みだけを取り出した天然甘味料
写真左が140g瓶、写真右が280gパック
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「赤ちゃんが食べても安心」というキャッチフレーズでクラウドファンディングを展開し、目標額の5倍近くの資金を調達した天然甘味料がある。“糖質制限”や“炭水化物抜き”など、高まり続ける健康志向という時代背景もあるのだろうが、クラウドファンディングサービスのMakuakeで圧倒的な支持を受けたのが、相楽ネットワーク株式会社が開発した「ミルクハニー」という商品だ。
水を飲むかのごとく大量に牛乳やビールを飲んでもケロッとしているアメリカ人は多いのだが、逆に少量の牛乳でもすぐお腹のゴロゴロが始まってしまったり、少量のビールでもすぐ酔ってしまったりする日本人は結構身近に存在しているものだ。これは欧米人と比較して、体内に牛乳に含まれる乳糖を分解する酵素や、お酒を飲むと体内で発生するアセトアルデヒドを分解する酵素が不足している日本人が多いからだと言われている。ミルクハニーは、あらかじめお腹がゴロゴロする原因の乳糖を分解して、牛乳の甘みだけを取り出した甘味料なのだ。
今回はミルクハニーを開発した相楽ネットワーク株式会社の代表取締役、長山秀子氏に詳しい話を伺った。
相楽ネットワーク株式会社代表取締役 長山秀子氏
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―― ミルクハニー開発のきっかけを教えてください。
長山:新潟県魚沼地方にある乳業メーカーの娘として育った私が、乳糖分解の技術を使って「やさしいミルクの甘み」を見える化したいという想いをもちました。乳ではなく甘い「糖」として、独立した糖類としての乳糖分解物を生産することを目標に、ミルクハニーの開発に挑みました。
こころとからだを癒す甘い一滴をみなさまに提供したい。雪の結晶のようなミルクハニーの一滴にのって、みなさまと幸せのひと時を共有したいという想いをもちました。もっと大勢の人たちと「お茶の時間」を楽しんで、お互いに楽しいつながりをもって過ごせたらいいなと感じています。そこで、お互いに楽しいネットワークを築こうという意味の相楽ネットワークと名付けた会社を創業しました。ミルクハニーのやさしい甘さで、やさしい人の輪を広げたいと願っています。
美と健康への意識の高まりが支持要因
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―― Makuakeでは目標額のほぼ5倍を達成しました。これだけミルクハニーが支持された要因はどこにあるとお考えですか?
長山:WHO(世界保健機関)の定義する「セルフメディケーション」、つまり「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」といった考え方が、特に若い世代の女性の方々において広まっているのではないかと考えています。美と健康への意識の高まりが、外見だけでなく内面にもおよび、ヨガやジムでのトレーニング、さらに食へと意識を高め、SNSの普及により情報も的確にキャッチして行動を示していく傾向を強く感じています。
近年の若い女性たちは、さまざまな情報を得て、「自ら考えて行動する女性」へと変革の歩みを加速しているように思います。そしてそれは自分自身だけでなく家族の健康も意識していると思います。そのような背景がミルクハニーが支持された要因ではないかと考えています。また、「糖」を多く摂ることから、少なくてもいいからより自分に合う「糖」を選択するような時代が訪れているとも感じています。
砂糖よりも低カロリー
―― はちみつや砂糖といった同カテゴリー商品と比較すると、ミルクハニーの優位性はどういったところにあるのでしょうか?
長山:はちみつは優れた商品ですが、気をつけなければならないこともあります。「はちみつはボツリヌス菌の心配があり、1歳未満の乳児には与えてはならない」と厚労省からの通達があります。そして、はちみつは花の蜜ですので、何の花か表示されていないとアレルゲンの限定ができない場合があります。ミルクハニーのアレルゲンは乳と限定的で、ボツリヌス菌の心配はありません。
はちみつは花の香りが強いものも多く、苦手な方もいらっしゃいますが、ミルクハニーはやさしい甘さで癖が無いため、何かと合わせた際にもメインディッシュの味を損ないません。水溶性で溶けやすく、はちみつの性質にとても似ているため、はちみつの代替としてもご利用いただけます。
砂糖のカロリーは100グラムあたり約380カロリーなのに対して、ミルクハニー』は約280カロリーですので、砂糖に比べ低カロリーです。そしてミルクハニーの最大の利点はインシュリン低刺激性にあります。摂取後の血糖値の上昇は砂糖に比べ緩やかです。
今後は店舗販売も視野に
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―― ミルクハニーの販路ですが、今のところMakuakeもしくは公式のオンラインショップ経由だけかと存じます。今後はどういった販路を開拓されていくご予定でしょうか?
長山:最初にミルクハニーを高名な百貨店のバイヤー様に提案した時、こう言われました。「このような新しい商品を百貨店に来たお客様に一人ひとり説明することはできないでしょう」と。「なるほど」と感じました。社会的に認知のない新しい商品は、いきなり百貨店などの店舗で扱っていただくことは難しいという状況を実感しました。
そこで、Makuakeのクラウドファンティングに注目し、そこからSNSにつながりました。SNSでしたらお一人お一人に説明可能なのだということに感銘を受けました。お客様は新しいものに寛容ですし、コミュニケーションの中で「ミルクハニー」が成長していっています。少しずつを広めながら、今後は店舗販売を目指していきたいと考えております。日常的に取り入れてもらえる「糖」を目指しています。
―― 今後、どういった形で展開されていくご予定ですか?
長山:私たちには「糖」を日常性の中で取り入れて頂きたいという願いがあります。たくさん摂るのではなく、健康を意識して、少し取り入れるだけでも栄養価があるように、スーパーフードとのコラボレーションを考えております。機能性に特化するのではなく、あくまでも一般食品でありながら少量でも「こころとからだに栄養」をもたらせてくれるような商品や、日常的に取り入れ「ほっこりする」商品の開発をして行きたいと考えております。
また、主に女性の強い味方となるような商品展開を行なっていきたいです。日常的に取り入れて頂くために、ミルクハニーを置いてくださる店舗様とより良い関係を築き、まずはBtoBの展開から知っていただいて、BtoCも展開できるように努力していきたいです。また、日本の中小乳業メーカーとネットワークを組み、乳糖分解スキルを活かし、乳清シロップを展開できればと考えております。
―― 「赤ちゃんも食べられる糖」という切り口では、少子化が進む日本市場よりも、子どもの数が多い(=出生率が高い)アジアやアフリカといったエリアが有望市場かと思いますが、海外展開のご予定は?
長山:懸命に態勢を整え、海外展開ができる準備をしていきたいと思っています。
タピオカミルクコーヒーなどに入れると美味しい
――最後に、ミルクハニーを使ったオススメの食べ方や、レシピなどがあればぜひご紹介いただけますでしょうか?
長山:ミルクいっぱいのレシピと組み合わせるととても美味しいです。例えばタピオカミルクティーやタピオカミルクコーヒーはお勧めです!コーヒーゼリーなどにもよく合います。
また、アイスクリームを入れてフロートにしたり、ホイップクリームを入れたり、抹茶ベースに入れるなど、応用範囲はとても広く、ホームパーティにもおすすめです。
ちなみにタピオカコーヒーーは、以下のようなレシピで作ることができます。