新旧のMacBook Pro 15インチモデルにmacOS Mojaveをインストールする
伊藤僑
Free-lance Writer / Editor
IT、ビジネス、ライフスタイル、ガジェット関連を中心に執筆。現代用語辞典imidasでは2000年版より情報セキュリティを担当する。SE/30からのMacユーザー。
Mojaveの読み方は?アップグレード可能な機種は?
mage by Apple
2018年9月25日、Appleは最新の「macOS Mojave(バージョン10.14)」を正式リリースし、Mac App Storeで無料アップグレードが開始された。Mojaveとはアメリカ南西部に拡がる砂漠のことで「モハベ」と読む。
バージョン10.0の「Cheetah(チータ)」からはじまり、10.8の「Mountain Lion(マウンテン ライオン)まではネコ科の動物名が用いられてきたMac OSのコードネームだが、10.9の「Maveriks(マーベリックス)」以降はカリフォルニア州の地名が用いられるようになった。なお、10.11「El Capitan(エル キャピタン)」まではOS名を「Mac OS X」と表記していたが、10.12「Sierra(シエラ)」からは「macOS」に変更されている。
macOS Mojaveにアップグレード可能なMacは、「Mac OS X 10.8 Mountain Lion」以降がインストールされた以下の機種。
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iMac Pro (2017)以降
iMac (Late 2012)以降
Mac mini (Late 2012)以降
MacBook Air (Mid 2012)以降
MacBook Pro (Mid 2012)以降
MacBook (Retina, 12-inch, Early 2015)以降
Mac Pro (Mid 2010)とMac Pro (Mid 2012)のMetal対応GPUカードを搭載したモデル以降
Mojaveへのアップグレードは、とても簡単
Image by Apple
macOS Mojaveへのアップグレードは、Mac App Storeから簡単に行うことができる。
筆者のMacBook Pro 15インチモデルは、旧機種(Mid 2012)にもmacOS High Sierra(10.13)がインストールしてあり、ストレージの容量にも余裕があったので、最新モデルと同じ手順で簡単にアップデートすることができた。
(※)Mojaveへアップグレードした新旧モデルそれぞれのスペックは以下の通り。
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2012年版 MacBook Pro Retina15インチモデル(右)
クアッドコアIntel Core i7(2.6GHz /Turbo Boost使用時 最大3.6GHz)、512GB SSD、8GB 1600MHz DDR3L、NVIDIA GeForce GT 650M(1GB GDDR5)、Intel HD Graphics 4000
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22018年版MacBook Pro15インチモデル(左)
6コアIntel Core i7(2.6GHz/Turbo Boost使用時 最大4.3GHz)、512GB SSD、16GB 2400MHz DDR4、Radeon Pro 560X(4GB GDDR5)、Intel UHD Graphics 630。
アップグレードの手順は、まずMac App Storeで「macOS Mojave」を選択してダウンロードを行い、その後は画面に表示される指示通りにクリックしていくだけ。これまでのmacOSとの違いとしては、外観モードを「ダーク」か「ライト」かに選択する必要があるぐらいだろう。
外観モードの違いを試してみたかったので、新モデルはダークモードに、旧モデルはライトモードに設定してみた。
ダークモードの新モデル(左)、ライトモードの旧モデル(右)
新旧モデルでアップグレードの手順に違いはなかったが、旧モデルは新型に比べて20分ほど余計に時間がかかった。
egword Universal2が使えてホッとする
今回のバージョンでは、最新技術の投入よりも安定性や使い勝手の向上に力が注がれているというが、やはり新OSのリリース直後にMacをアップグレードするのはドキドキするものだ。
動作が不安定になったり、使えないアプリが出てきたら、前のバージョンに戻さなければならない。そのため、アップグレード前には必ずTime Machineで外付けHDDにバックアップを取るようにしている。
周辺機器やアプリが新OSへ対応しているかどうかも一応チェックしているが、リリース直後では対応を表明しているものはまだ少ない。なので、仕事用のメインマシンではなく、サブマシンで試してみるのが安全だ。私のように、なる早でレビュー記事を書かねばならない者は、そうも言っていられないが。
macOS Mojaveへのアップデートを実行してみて感じたのは、処理能力の劣る旧モデルでも動作がもたつくことはなく、意外なほど軽快に操作できたことだ。ファイル転送や簡単な画像加工、表計算、文章入力を試してみたところ、以前のmacOS High Sierraと同じような感覚で操作することができた。
個人的に一番嬉しかったのは、原稿執筆用に愛用している egword Universal2が、今のところ問題なく使えていることだ。当然ながら、AppleのPagesやNumbersなどは問題なく動作した。
Mojaveを使い始めてみて気になったこと
macOS Mojaveでは、デスクトップ回りの見た目や操作系が大幅に改良されている。
最も注目を集めているのは、メニューバーやウインドウの枠などを従来の明るいグレーから黒に近いダークグレーに変えた「ダークモード」の導入だろう。画面のまぶしさを軽減し、目に優しいとされるダークモードは、長年同じ色調のデスクトップを見慣れてきたMacユーザーには、とても新鮮に映る。
ダークモードで表示したアプリケーションフォルダ
ただし、アプリケーションによってはダークモードで表示させると、暗いデスクトップ上でアプリケーションのウインドウだけが白く浮き上がって見え、かえってまぶしさを感じてしまうこともあった。そんな時は、従来型のライトモードを使った方がいいかもしれない。
デスクトップ上に多くのアイコンが置かれている場合に便利なのが、「スタック表示」だ。デスクトップ上に多数のアイコンが散乱している状態でスタック表示を選択すると、種類やタグなどでアイコンを自動的にグループ分けし、重ねて表示してくれる。
もっとも筆者の場合は、デスクトップ上に置くアイコンは常日頃から整理して極力少なくしているので、あまり恩恵を感じてはいない。
デスクトップ回りの改良で便利さを感じているのは、ファイル内容の確認に便利な「ギャラリー表示」で、画像回転などの簡単な画像編集が可能になったことだ。
特筆すべきはiOS端末との連携が強化されたこと
macOS Mojaveでは、 iOSデバイスとの連携も強化されている。
MacからiPhoneやiPadのカメラを遠隔コントロールして、写真撮影や書類のスキャンをさせることができるのが「連携カメラ」だ。
コントロールキーを押しながらデスクトップ上をクリックした時に表示される「iPhoneまたはiPadから読み込む」というメニューを選択すると、コントロール可能なiPhoneやiPadが表示される。使用したい端末の「写真を撮る」、「書類をスキャン」を選べば、iPhoneやiPadのカメラは自動的に起動してすぐに撮影することが出来るので、とても便利だ。写真はjpegで、書類はpdfで保存される。
記事の執筆時にiPhoneで撮った写真や図版をよく使う筆者にとっては、とても便利な機能だ。
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このほか、macOS Mojaveには、これまで iOSで提供されていたアプリ「ボイスメモ」、「ホーム」、「株価」のMac版も搭載。 iOSとの連携も容易になった。また、iOS12で実現された、最大32人と会話できる「Group FaceTime」にも対応している。
iOSで使い慣れたボイスメモがMacでも使えるようになったのはありがたい。
多機能スクリーンキャプチャソフトも新たに追加
macOS Mojaveでは、多機能スクリーンキャプチャソフト「スクリーンショット」も新たに追加されている。
多機能スクリーンキャプチャソフト「スクリーンショット」
このスクリーンショットでは、画面全体や指定した画面の一部を静止画/動画でキャプチャできるだけでなく、タイマー設定や保存場所の指定も行うことができるようになった。キャプチャした画像は、一時的に画面の隅にサムネイル表示されるので、クリックしてすぐに編集作業に入ることも可能だ。
macOSが標準でここまで多機能なキャプチャソフトを搭載してくれるとは驚いた。これまで通り、「shift+command+3」で画面全体の、「shift+command+4」で画面の選択部分のスクリーンショットを撮ることもできる。
このほか、iOS12と同様に、最大32人での音声/ビデオチャットが可能になったFaceTimeや、プライバシー保護、パスワード管理を強化したセキュリティ機能など、随所で細かな改良を実施。より使いやすい環境を実現している。
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