文:岩見旦
家族や友人、恋人など、誰もが自らを理解して、そばにいてくれる存在を求めている。しかし、それはある人にとっては人間ではなく猫であった。
感覚処理障害という自閉症スペクトラムを抱えた男の子ジェイデン・ダントン君と、その愛猫キティのエピソードを紹介する。
自閉症スペクトラムの男の子を一匹の猫が救う
ジェイデン君は時折、パニック発作に襲われ、感情を爆発させてしまうことがある。こうなると、もう家族ですら手がつけられなかった。
しかし、猫のキティだけは違った。どこにでもいる灰色の猫のように見えるが、ジェイデン君にとって他には代えがたい存在なのだ。ジェイデン君の感情が高ぶった時、キティは怖気づくのではなく、その真反対の行動を取ったのだ。
うめき声を上げながら、クッションを殴り、足をバタつかせるジェイデン君。感情が制御できないようで、とても苦しそうだ。
そんなジェイデン君のそばにキティが臆することなく寄り添い、頭をペロペロと舐め始めた。すると、ジェイデン君も静かになり、暴れるのを止めた。さらに、キティを両手で撫で始めたジェイデン君。キティも仰向けになり嬉しそうだ。
これまで家族もあらゆる手を打ってきたが、キティのようには上手く行かなかったという。
ジェイデン君のお母さんのトーニャさんは『the dodo』に「キティはすべてを変えてくれました。母親として彼らの絆に驚くだけでなく、必要としているときにジェイデンの元に駆け寄るキティに出会えたことは特別なことだと思わざるを得ないです」とコメントしている。
キティは、ジェイデン君がパニック発作を起こしているときだけのでなく、いつも一緒にいるという。そして、ジェイデン君が孤独を感じないよう、この世界とつなげる助けになっているとのこと。
「キティはジェイデンを幸せにしてくれました。互いに理解し合っているように見えます」とトーニャさん。「私もジェイソンに親友が出来たと知ることができて幸せです」とも。
飼い主がパニック発作を起こしたとき、ケアできるように特別に訓練された「介助犬」が存在する。キティは訓練を受けたわけではないようだが、二人の絆がその役割を見事に実現させた。