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主食として食べるだけでOK!世界初「完全栄養パン」が発売開始。新市場に挑むベースフードの若き社長にあれこれ訊いてみた
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  • 2019.05.09
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主食として食べるだけでOK!世界初「完全栄養パン」が発売開始。新市場に挑むベースフードの若き社長にあれこれ訊いてみた

3月4日に販売が開始された世界初の完全栄養パン「BASE BREAD(ベースブレッド)」
© 2016-2019 BASE FOOD, Inc. All Rights Reserved.

金融と最新のITとの融合をフィンテック(FinTech)と呼ぶように、食品とITの融合はフードテックと呼ばれる。

フードテックがカバーする領域は生産現場である農業から調理現場のキッチンまでのすべてだ。IKEAの研究所「Space10」が食糧危機を想定して肉の代わりに昆虫を使用したファストフードを開発していることや、Impossible Foodsという人工肉を使った商品開発をするスタートアップのニュースを耳にしたことがある人も多いであろう。ロボットが調理するレストランや、ドラマ『下町ロケット』でも登場した無人トラクターなどもフードテックが扱う領域である。

そんなフードテックの領域でホットなトピックのひとつが「完全栄養食」というものだ。“必須栄養素を過不足なく補える食品”として、。日本国内で知られているものではコンプの「COMP」、ベースフードの「BASE PASTA」や「BASE BREAD」、日清食品の「All-in PASTA」などがある。

今回はそれらのうち、3月4日に“1食で1日に必要な栄養素(脂質・飽和脂肪酸・n-6系脂肪酸・炭水化物・ナトリウム・熱量を除く、すべての栄養素)の1/3を摂ることができる”という触れ込みで発売を開始した新商品「BASE BREAD」の開発元、ベースフードの代表取締役、橋本舜氏に話を訊いた。

取材・文:6PAC

橋本舜(はしもと・しゅん)

ベースフード株式会社 代表取締役

東京大学教養学部卒業後、株式会社DeNAに新卒入社。駐車場シェアリングや自動運転移動サービス等の立ち上げに従事。新規事業を担当し、社会課題と向き合う中、健康維持・病気予防の個人および社会における重要性を強く認識する。 2016年に「主食をイノベーションし、健康をあたりまえに」をミッションとするベースフード株式会社を設立し 、世界初の完全栄養の主食『BASE PASTA』を開発。現在、世界初の完全栄養のパン『BASE BREAD』も販売開始し、さらなる新商品の開発、国内での普及及び海外展開に尽力している。

そもそも「完全栄養食」とは何か

橋本舜氏
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ベースブレッドは、冷凍した状態で販売される食パンで、公式ウェブショップでは1食(2個入り)につき税込390円で販売されている。1セットは4食単位で、8食(16個)から注文可能だ。

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「完全栄養食」というワードからサプリメントなどとも混合しがちで読者の方には馴染みがない人も多いであろうということから、まずは「完全栄養食とはなんぞや」という問いから始めさせてもらった。古くは卵や玄米など、栄養価の高い食材のことを指していたそうだが、2013年にアメリカで「ソイレント(Soylent)」というドリンク型の完全栄養食が発売されてからは、必要な栄養素の種類と量が計算してつくられた食品が“完全栄養食”として広く認知されるようになったという。アメリカでは“栄養的に完璧な食品”という意味で「Nutritionally Complete Food」などと呼ばれている。ソイレント以降の完全栄養食の定義は、「基本的に各国の食事摂取基準に基づき、1食で1日に必要な栄養素の3分の1をすべて含むものとなっています」とのこと。

カロリーメイトのようなバランス栄養食と、ベースブレッドのような完全栄養食の違いについては、「どちらも利用シーンやユーザーが違うと考えています。ベースブレッドは、普段の食事として取り入れて、栄養バランスをとってほしいと考えています。ジャムやバターを塗ったり、間にハムやチーズを挟んだりと、アレンジも自在です。カロリーメイトなどは食事というより、スナック型の手軽な栄養補給バーとして取り入れている方が多いのではと思います」と説明してくれた。

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同社では完全栄養食を、「栄養素等表示基準値に基づき、脂質・飽和脂肪酸・n-6系脂肪酸・炭水化物・ナトリウム・熱量を除いて、すべての栄養素で1日分の基準値の1/3以上を含むもの」と定義し、商品を展開している。橋本氏は「弊社はベースフードだけで食事を済ませるのではなく、他の食事も楽しんで欲しいと考えています。脂質など前述の6項目については、現代の食環境では過剰摂取が懸念されると考え、あえて抑えています」と語る。

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いきなり完璧を目指すのではなく、少しずつ栄養バランスの改善を

ベースブレッドの発売を記念して、3月4日から31日まで恵比寿にて期間限定カフェ『BASE BREAD BAKERY & CAFÉ』も展開。ベースブレッドと特製シチュー、ディップとのセットや、メイプルトーストなどを提供し、様々な食べ方を提案した。
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ベースフードでは完全栄養食としてパスタとパンを販売している。消費者がこれらの食品を口にするメリット・デメリットに訊ねてみたところ、「主食を置き換えるだけで栄養バランスのいい食事ができるので、誰でも簡単に、健康な体へと近づくことができます。今までは一汁三菜など栄養バランスのよい食事を作るのは時間がかかっていましたが、女性の社会進出や単身世帯の増加により、調理に時間をかけられる家庭は少なくなっています。また栄養について理解するのはなかなか難しく、知識がないとバランスよく取り入れるのは大変です。そんな状況の現代だからこそ、手軽に栄養バランスがとれるベースフードはメリットがあると考えています。世の中のためになる商品と思うからこそ販売しているので、デメリットはないと考えていますが、あえて言うならば、現在のところはまだ他のパスタ・パンよりは割高な所です。ただ栄養バランスの観点ですと、一汁三菜の定食は800円程度はしますので、ベースフードは1食で栄養バランスがとれると考えると、お手頃とも言えると思います」と答えてくれた。

同社の完全栄養食を購入する層は、仕事や趣味を楽しむために健康を維持したい、そのためにバランスのいい食事を心がけたいという、30~40代の男性が最も多いそうだ。同時に多忙な働く女性、子育て中の母親などが多いという。顧客からは、「手軽に食べられるのがいい、これだけで栄養バランスがとれるから助かる、身体の調子がよくなった、トレーニング中の食事管理にも便利、栄養バランスを考えなくても栄養バランスのとれた食事ができるのが嬉しい、食べ方次第でアレンジできるしおいしく続けられる、などといった声をいただいています」といった反応が得られたという。

ところで、ベースブレッドは冷凍の状態で配送されるのだが、「完全栄養食」であろうとなかろうと、パンと言えば焼きたてを求める消費者も多いのでないだろうか。この点について訊ねてみると、「焼きたてをお届けすると、数日もつかもたないかですが、冷凍でお届けすると、レンジ調理することでいつでも焼きたてのような味わいを楽しむことができます。なのでお客さまにとっても、冷凍の方がおいしく味わっていただけます。ベースブレッドは、焼きたてを急速冷凍しておいしさをぎゅっと閉じ込めているので、リベイクする(焼き直す)と、ご家庭でも焼きたてのような風味が味わえます」との答えが返ってきた。

またベースブレッドが供給するのはあくまで、“1食で1日に必要な栄養素の1/3”ということなので、残りの2/3を補完するのに最適な食品などはあるのか訊いてみた。すると、「ベースブレッドは1食分の栄養素が摂れますので、何かの食品と一緒に食べないといけない、ということはありません。また1食分で1日分(3食分)の栄養素を摂るのは望ましくない(例えばビタミン類は吸収できない)ので、他の2食もなるべく栄養バランスの良い食事を選ぶのが理想的です。ただ、忙しい毎日の中ではそれも難しいと思いますので、1食分(1日の1/3)でも栄養バランスの良い食事をして頂ければ、今よりも健康のベースが上がりますので、1日3食・365日全てを理想的な栄養バランスにしなければいけないと考える必要はないと思います」という。

現代人のニーズにマッチした「新しい主食」を目指して

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完全栄養食であろうとなかろうと、食事に欠かせないものは味であろう。味は勿論のこと、価格や販路なども消費者のニーズにそぐわなければ、普及も難しいのではないか。パスタとパンという「完全栄養食」を提供する同社が現状で向き合っている壁はどういったものなのか。

橋本氏は、「ベースフードは、現代人が忙しい生活の中でもかんたんに取り入れられるよう、サービスの向上に努めています。共働き世帯が多い現代では、一汁三菜を毎日つくって健康的な食事をするのは、難しくなってきていると考えています。だからこそ現代の生活にあった新しい主食として、ベースフードを提案したいです。味については、自然食材の風味を活かしつつ、どんな味つけにもあう、毎日食べたい味を目指して、日々改善を重ねています。また販路はウェブサイトからの直販を中心に行っているのですが、弊社が提案している定期便にすると、毎月ご自宅にお届けするので、外に買いに行く手間も省けます。そう考えると壁として考えられるのは健康や栄養バランスへの意識かもしれません。健康への意識がなかったり、また健康のためには栄養バランスが大事という認識がなかったりすると、ベースフードの価値が伝わりません。よって、ユーザーに栄養バランスの大切さを伝えるのも、大事な使命だと考えています」と、自己分析する。

一昔前は想像の産物でしかなかった人工知能やロボットが、思いもよらなかったスピード感で現実のものとなってきているのは誰しもが実感するところだろう。それを踏まえると、特別意識することもなく、当り前のように一般家庭のテーブル上に「完全栄養食」が並ぶ日はそう遠くないのかもしれない。


ベースフード株式会社

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