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完璧主義を捨てて、コスパ重視の高い生産性で働く会社【連載】遊ぶように働く〜管理職のいない組織の作り方(15)
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  • 2018.12.19
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完璧主義を捨てて、コスパ重視の高い生産性で働く会社【連載】遊ぶように働く〜管理職のいない組織の作り方(15)

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「納品のない受託開発」を提供するソニックガーデンは、全社員リモートワークで本社オフィスがない。さらには、全社員がセルフマネジメントで管理職もいない。管理をなくして遊ぶように働きながらも、ビジネスは順調に成長することができている。その自由と成果の両立を実現する経営に隠された謎を紐解く。

倉貫義人

株式会社ソニックガーデン代表取締役

大手SIerにてプログラマやマネージャとして経験を積んだのち、2011年に自ら立ち上げた社内ベンチャーのMBOを行い、株式会社ソニックガーデンを設立。ソフトウェア受託開発で、月額定額&成果契約の顧問サービス提供する新しいビジネスモデル「納品のない受託開発」を展開。会社経営においても、全社員リモートワーク、本社オフィスの撤廃、管理のない会社経営など様々な先進的な取り組みを実践。著書に『「納品」をなくせばうまくいく』『リモートチームでうまくいく』など。「心はプログラマ、仕事は経営者」がモットー。ブログ http://kuranuki.sonicgarden.jp/

良かれと思ったことが大企業病を生み出してしまう

前回は、価値観や思いを共有するためにテクノロジーや文章を活用した効率化を実現することと、じっくり同じ場所と時間を過ごすことで濃密なコミュニケーションを実現することについて紹介しました。適材適所で伝えていくのです。

「成果を出すためにコミュニケーションは大事」。これに対して異論を挟む人はいないでしょう。確かに大事ですが、なんでもかんでも話し合って決めなければいけない、全員で話し合わないと物事が決まらないなんてことになってしまったら、コミュニケーションを大事にしすぎて成果が出せないという本末転倒が起きてしまいます。

よくあるのが、コミュニケーションを重視した良いチームだからこそ、全員が同じだけの情報を知っているように共有したり、互いに配慮しあって全員の合意をとるようにしたりすることで、会議ばかりに時間を取られてスピード感が失われてしまう状況です。足並みを揃えることは良いことばかりではありません。

この問題の根深いところは、「コミュニケーションを大事にする」という意見は正論なために、反対する意見が言いにくいという点です。「増えすぎた会議を減らそう」と提案して、もしうまくいかなくなったらと思うと誰も言い出せなくなります。

似たようなことは他にも起きます。たとえば、将来のためにドキュメントがあった方が良いけれど、なんでもドキュメント化するようになると鈍重な組織になってしまいます。属人化をなくすためにマニュアル化や標準化をした方が良いからといって、やりすぎると規則に縛られた官僚的な組織になってしまいます。

最初は誰かが良かれと思って始めたことが、人数が増えて集団が秩序を求めるようになると真面目な人が出てきて、これも良かれと100%を目指すようになり、結果いわゆる大企業病のような状態になってしまうのです。

完璧よりも適当、管理よりも信頼、秩序よりも混沌

私たちソニックガーデンでも組織が大きくなっていくにつれて、少しずつ秩序が強くなりつつある時期もありましたが、完璧にしようとすればするほどにコストばかりがかかって成果にはつながらないことに気付き、アプローチを変えることにしました。

最も大事なことはパフォーマンスを最大化することです。社内に向けて整備をすることも重要ではあるけれど、外向きの成果につながらないことにコストをかけすぎてしまうと、相対的に組織が出す成果の価値が下がってしまいます。

コストパフォーマンスを最大化したいと考えている私たちは、情報共有や規則などの徹底が完璧であることよりも、適当であるくらいでも良いと考えるようにしました。

たとえば、前回の記事で紹介した社長ラジオも、全員がちゃんと聞いてるか確認するようにしたら、途端に管理っぽくなって楽しさが減るし、強制的に聞かせたとしても効果は薄いでしょう。だいたい聞いてくれると信じて徹底していません。むしろ、自分から聞きたいと思ってくれるようなネタを考えたり、気軽に聞いてもらえるように時間を5分に限定するなど工夫をしています。工夫にコストをかける方が管理するより健全です。

それに、人間同士のコミュニケーションにおいて、どれだけ言葉を尽くしても、どれだけ丁寧に説明しても、本当にわかり合うことなど非常に難しいことです。もし本当に伝えたい言葉があるなら、一度の発信で届くことを徹底して管理するよりも、一度では伝わらない前提で何度もさまざまな場面で伝えていくしかないと考えています。

秩序の強い組織になると現行業務に対して最適化されて高いパフォーマンスを出すことができますが、行き過ぎると硬直化して変化に弱い組織になってしまいます。

組織の秩序はトップダウンというよりも、現場の集団意識から起こります。社会通念では秩序あることは正しいとされているし、几帳面な人がいれば整理しようとするし、日本人の多くは真面目だから従います。だからこそ逆に、社長である私の立場は、新規事業への取り組みや新しい人材の採用に組織変更など、あえて混沌を持ち込むことを意識しています。そうして変化に適応できるだけの「あそび」が組織に生まれます。

バグをなくすよりも、どれだけ早く発見して直せるか

私たちの会社はソフトウェア開発を生業としています。「バグ」という言葉は聞いたことがある人も多いのではないかと思いますが、コンピュータの動作に不具合をもたらすのがバグです。バグは、プログラムの書き方ミスや、想定しきれなかった動作、仕様の勘違いなどから生まれます。

ソフトウェア開発のプロとしては、もちろんバグのないプログラムを書くことを目指しますが、完全にバグをなくすことは現実的には不可能です。数字上、テスト項目に対して100%の検証結果を出すことはできても、あらゆるケースに対して網羅しきることが難しいからです。

特に私たちの場合は「納品のない受託開発」というビジネスモデルで、お客様のソフトウェアをずっと開発と運用を続けていくスタイルなので、稼働し始めたときはよくても長く運用していれば何かしら問題は出てきます。将来にわたって完全にバグをなくしてから稼働させようとすると、時間とコストがいくらあっても足りません。

納品されたソフトウェアで問題になるのは、何かバグを発見してもすぐに直すことができないことです。そこで納品をしない私たちはバグに対する姿勢として、いっそ100%バグをなくすことを目指すよりも、どれだけ早く発見して即座に直せるか、としています。ダメージを最小限にする戦略です。

その前提の上で、顧問スタイルで開発した人間が運用に入っても継続的にサポートし続ける体制にすることや、影響範囲を狭めるような設計、メンテナンスしやすいプログラムを書くことなどの工夫をしています。

なにもバグがあっても良いよと言ってるわけではなく、当然気をつけて開発をしてテストも行いますが、100%という完璧を目指しすぎてコストをかけすぎるよりも、ライフサイクル全体で見た上での最適化を考慮した方がコストパフォーマンスが上がるという話です。もちろん対象システムが求められる厳密さなども考慮する必要はあります。人命に直結するようなシステムなら、より厳密にするべきでしょう。しかし、それは多くありません。

完璧であることよりも、適当であることは生産性に大きく影響してきます。どうも適当というと「いいかげん」な感じがしますが、本当は「良い加減」なんだと思います。

「許可を求めるな、謝罪せよ」と、謝って済むカルチャー

「許可を求めるな、謝罪せよ」。この有名な言葉は、組織で働く人たちに大きな勇気を与えてくれます。なにかやりたいことや、やるべきことがあったとして、やるための許可を求めようとして時間がかかってしまうよりも行動してみる方が良い。たとえ失敗しても、謝罪すれば良いというのです。

マネジメントとは監視や管理をすることではなく、組織として成果をあげられるようにすることです。そうであれば、もし許可なく行動したとして成果を出すことができるのであれば、咎めることなどありません。もちろん、セキュリティや法律に関わることなど抑えるべきところは抑えるべきですが、会社の文化として「謝れば済む」という大前提がある方が、チャレンジしやすくスピード感もある組織になります。

私たちソニックガーデンには上司や管理職という概念がありません。もはや許可を求める相手がいないのです。その代わり、難しい判断をしなければいけない時や不安がある時は、社内で雑談や相談し合うようにしています。

現場でのお客様への対応や仕事の進め方などは個々人に完全に任せていますし、新しい事業の立ち上げや、社内システムの開発や制度の変更なども、誰に許可をとることもなく取り組むことができます。たとえ失敗したとしても、誰に咎められることもなく、評価が下がるなんてこともありません。そもそも評価がありません(第5回「給与は一律、賞与は山分け、評価がないのに働く会社」)。

創造性を求められる現代の仕事では、決まった正解などなく上司は許可を求められても簡単に判断できません。トライアンドエラーを繰り返す方が良い成果を出せるのなら、許可を求めるよりもトライした方が良いのです。

ポイントは、謝罪がペナルティにならないようにすることでしょう。経営者が「許可を求めるな、謝罪せよ」と言っておいて、失敗したら謝罪した上でペナルティが課せられるのだとしたら、結局は許可をとった方がよかったということになりかねません。

せめて社内であれば、失敗しても「ゴメン!」で済むようにしたいし、多少の失敗を許容することができること、チャレンジのセーフティネットを作ることこそが人が集まって組織になっていることの価値の一つではないでしょうか。


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